著者の川井マコトさんは以前日記に書いたようにアニメ版の「幸腹グラフィティ」から原作を読み、その物語から次作であるこの作品も手にした。

 

幸腹グラフィティの雑感

https://ameblo.jp/kaedemarple/entry-12327453307.html?frm=theme

 

 ちょうど昨日最終巻である三巻が届き、夜勤明けの今朝読了して何となく気まぐれにそのままの勢いで今回の漫画日記である。

 

 さて本題に入る前にちょっとした注意書だけれども、本作はシリアスな場面はあるけれども四コマ漫画がということでところどころに笑える部分があるし、何よりも「まんがタイムきらら」掲載作品ということで全体的には甘め、というよりもおとぎ話に近い物語である。

 それゆえにハードな展開や本格的なSFを好む人には合わないと思うし、微妙に百合的な関係のキャラクターも登場するし何よりも帯に「恋物語」とあるように恋愛が中心となり、そういったものが苦手な人にはちょっとおすすめできない。

 本作に関して自分は希望的なおとぎ話、として楽しみ読んだのである。

 

 さて物語だけれど、本作は人間そっくりのアンドロイドが普通にお手伝いなどとして存在する世界が舞台である。この世界のアンドロイドは学習することによって個体差や性格が出てくるという設定だけれども、過去に起きた事件から恋愛感情を持たないようにされている。けれども学習によってその感情を抱く場合もあり、そのときは欠陥品として即処分もしくは修理により別人格に変更と法律で定められている。

 それゆえに主人公であるアンドロイドはその想いを隠して生活を…そばにいるだけでいいと思い日々を過ごしていた。

 それが変わるのは人間の、想い人に片想いする女の子と友人となったことでありそこから物語は、色々な人物を巻き込んで動き出していく。

 この物語でおとぎ話的な部分のひとつともいえるのが、主要登場人物がみないい人だということである。それぞれに考えることや相手を思うがゆえに厳しいことを言ったり、状況に追い込んでしまったりするけれども、それは善意であったりときには自分勝手なことだったと反省をしたりするのである。こういったあたり、ハードなものを好む人には甘く感じられるとは思うけれども、そもそもこれはそういった物語なのである。

 

 様々なキャラクターが登場するけれども、印象的なキャラの一人が過去の出来事から人間に不信、現在の雇い主である女の子だけ信頼(これもまた後に綺麗な世界を見せたいだけと気づかされることになる)している花凛だった。

 

・そもそもの原因は人間自身なのにね。

「無感情よりも感情がある方が」「世話をさせる時気持ちがよくて快適だから」

そういう勝手な事情で感情を持たせて散々求めてばかりのくせに

いざ私達が求めたら即ゴミ扱い、人間って勝手(ハートマーク)

(略)

「花凛さんは人間が憎いの?」

「あなたの事は大好きよ、良い人ぶって正しい人ぶって実は自分勝手なだけの人が大嫌いなだけなの」

・あなたの汚い口でその名前呼ばないでよね、あの子は綺麗な子なんだから。ももちゃんは関係ないから巻き込ませない。

察しのいい子だからそっちこそ余計な事はやめて

(綺麗な子ね…本当にそうなのかしら)

 

それに対する第二巻十六話の綺麗な子と称された女の子から投げ掛けられる言葉がこれまで明かされたことのうえで印象的になった。

 

 この物語の登場人物は誰も彼もが何かしら…アンドロイドだけでなく人間も抱えていて第一巻、第二巻ともその終わりで急展開が訪れる…

・本当全員揃ってくだらないことに囚われてバカみたい

・本当全員揃って囚われて 一番バカなのは私だわ

 

 登場人物の運命はくるくるとそれぞれ動き出して、それぞれの結末に向かう。特に三巻で訪れる花凛に訪れるあることは衝撃的だった…それゆえにラストで救いとも希望ともとれる部分が明かされるのは人によっては最初に書いたように甘いと感じると思う。けれども、これも最初に書いたように自分はおとぎ話として読んだのだから、こういう展開もいいと思うのである。

 それこそ最終的に主人公に起こる出来事は奇跡というか、ご都合主義として受け取られても仕方がない展開だとは思うけれども、こういった希望的なものもいいと思うのである。

 

 最終的に世界は変わりつつあることが示唆されるけれども、それでも世の中は簡単には変わらない。そのなかでどう想いをつないでいくか、そういった物語に自分は好きだな~と思った。前作の幸腹グラフィティとはまったく違うものだっただけに、最初は戸惑ってしまったけれども読み終わったあとに、またべつの、川井マコトさんの物語が読みたいなと思ったのである。

 朝読み終わった勢いで書いてしまったから今回もまたうまくまとめきれていないし、書き漏らしが多いのが悲しい…

 

 余談だけれども今回自分はメロンブックスの特典目当てに通信販売を利用したけれども、全巻収納ケースつきの限定版とともに店舗特典の書き下ろし小冊子がついていた。最近知ったけれども、本によってはお店によってこういった特典がつくことを知り、予算さえあれば全部集めるのに…とついつい思ってしまう。ただ…自分はコレクターではないし、何よりも予算から複数購入はしない…予算さえあれば…

 そして実をいうと今月はもうひとつ同じように同じお店でまんがタイム系統の最終巻にして全巻収納ケースつきの「うらら迷路帖」を注文して到着待ちだけれども、実はこの二つもともと予定外で本当はべつの本を購入する予定だった。ただ数量限定ということからこちらを先にしたわけだけれども、予算が限られているからどれを選ぶか本当に悩んでしまう。生々しくなるからこのふたつの限定版の金額は書かないけれどもそれぞれ送料や手数料が掛かって金額が跳ね上がり地方の悲しさを感じる。

 特に今回は実はもう一冊べつの本も発売前予約して予定では同時期になるはずが、発売日延長で単行本一冊に送料などで千円を越えるという事態になってしまい苦笑いである。特典の可能性があるし、何よりも今後の信用度などから取り消しはよくよく考えてからだけれども、こういたあたりで差が出てしまうのである。