骨と軽蔑 | 楓子(ふうこ)のブログ

楓子(ふうこ)のブログ

自分の好きなエンタメ関係を中心に書いています。

2/29(木)シアタークリエへ行ってきました。
 



今回は、女性ばかりの出演者。
宮沢りえ 鈴木杏 犬山イヌコ 堀内敬子 水川あさみ 峯村リエ 小池栄子

たぶん、どの人も最低一度は見た事がある方々。
というか、むしろ好きな女優さんばかりが出演してる。
一体、どんなお話なんだろうと思っていた。

いや~散々笑わせてもらったし、すごく深く考えさせられた面もある。
現在進行形で起こっている戦争を彷彿させるシーンもあれば、どこかダークファンタジーな面もあるし、チェーホフ作品のような雰囲気がする時もあった。

家族だからこそ、許せなかったり、家族でなくても親密だからこそ、頼り切ってしまったり、願いがかない、裕福になった故に、人が変わってしまったり…
人生は何が起こるかわからない。

「一寸の虫にも5分の塊」という諺が浮かんでくる。
そして、様々な人間関係を描きつつ、反戦が描かれている。
戦争との関わり方が実にえげつない部分もあり、非常に悲しすぎる部分もあり…
KERAさんの作品は何度か拝見していますが、女性を描くのが得意な印象がします。

宮沢さんは、作家で、その妹が鈴木さん。二人の母親が、峯村さん。
その家庭で長く召使をしているのが犬山さん。堀内さんは、宮沢さん担当の編集者。
水川さんは、峯村さんの夫の秘書。そして、小池さんは、宮沢さんの作品の大ファン。

宮沢さんと鈴木さんの言い争いが、くだらなすぎて可笑しかったけど、何があっても、結局はお互いを思いあっていたりする。
宮沢さんがを拝見するのは、「死と乙女」以来だから、4年とちょっと経つのかな?
コロナ禍で「桜の園」が中止になってしまったからえーん
いたって、普通の人を演じてるのを見るのが、珍しい気がしました。

鈴木さんは、少し前にみたドラマ「大奥」が印象的でした。よく通る声と、丁々発止で宮沢さんとやりあってる様子や、手紙を読んでる様子がいじらしかった。

犬山さんは、客席に話しかけてる時も含めて、本当に面白かった爆  笑
絶妙な間と、あの声質もあるのかなぁ~
どこか身近にいそうなキャラクターだから、親近感もわきますウシシ

堀内さんは、見るたびに、印象が本当に違いますが、今回は歯に衣着せぬ編集者がピッタリ。堀内さんの素に近そうにも思えました。

水川さんは、この間みた舞台とは違って、虎視眈々と社長の奥様の座を狙っている秘書に見えたのですが、実は自分の身の振り方を心得てる世渡り上手なのが、意外でした。高飛車な感じで始まったのに、出征を前にして、戦争に対する思いを語る部分は胸が痛かった。

峯村さんは、初めの頃弱弱しくて頼りなげだったのに、夫がなくなり自分が采配するようになって、生き返ったかのように別人になった。やり手の社長になればなるほど、人がなくなっていくのだから、皮肉だ。

小池さんは、少し方言を話す感じのキャラクターだったけど、犬山さんと張り合えるくらい、可笑しかった笑

あの大きな目のリアクションも、面白さを加速させるのよねウシシ
大ファンの作家宮沢さんを励ますために書き続けていた手紙が、全く読まれていなかったのも皮肉なら、どんどん作家として活躍するようになって、自分の存在意義がなくなっていくのも皮肉だった。それは、どこか売れる前のアイドルを応援していたのに、売れるようになったら、どんどん遠くになっていくように感じるのに似たものがあるかもしれない。

散々笑いまくったのに、最後の最後で、ドーンと大きな爆弾を落とされたような展開が、とても哀れで気の毒だった。人には、どうしても譲れないものがあって、それは祖国への愛なのかもしれない。ただ、かつて愛した人への最後の情けがあったのは、せめてもの救いといえる。

公式HPは、こちら…https://www.keracross.com/keracross5