藩の一大事を救うために懇願され、無実の罪をかぶり旅に出た小布施拓馬。だが、状況は一変。男の約束を反故にされた拓馬の怒りが爆発する…。監督は田中徳三、主演は市川雷蔵、共演は八千草薫、藤村志保、加藤嘉、藤岡琢也、中谷一郎等です。
(1966年度:大映)
時代劇の殺陣は大まかに言うと二通りに分かれると思います。型にはまった様式美の殺陣(テレビ時代劇のほとんどがこのパターン)と、がむしゃらに命のやりとりをするリアリティーのある殺陣(代表作は『十三人の刺客』。片岡千恵蔵主演のオリジナル版は名作)です。本作のクライマックスで繰り広げられる大殺陣はそのどちらにも属しません。一人vs二百人。拓馬は斬って斬って斬りまくります。最初のうちは時代劇特有の様式美が見受けられますが、途中からはのた打ち回って「必死のパッチ」状態。全然かっこよくないし、リアリティーもありません(どんな剣豪でも敵が200人では勝てねーよ)。でも、めちゃくちゃ痛快! 稀有な魅力を持ったチャンバラ映画です。
(時代劇専門チャンネルで鑑賞)