歌舞伎の本格的な世代交代への期待 ③ (前篇 )  中村壱太郎 尾上右近 中村隼人 | ふうせんのブログ

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小林蕗子のブログです。2013年5月に始めたときはプロフィールに本名を明示していましたが、消えてしまいましたので、ここに表示します。。
主に歌舞伎や本のことなどを、自分のメモ的に発信したいなあって思っています。よろしく!!

前回の【歌舞伎の本格的な世代交代への期待 ② 中村屋兄弟】の続きです。
このシリーズを始めようと思ったきっかけは、中川右介の『日刊ゲンダイ』2月の歌舞伎紹介でした。
その中の中村壱太郎と尾上右近の部分を抜き出すと、
「大阪松竹座では、1月の歌舞伎座で『京鹿子娘道成寺』を競った中村壱太郎と尾上右近の2人が、『曽根崎心中』のお初・徳兵衛で共演。お初は19歳、徳兵衛は25歳という設定だが、坂田藤十郎が70を超えても演じてきた。それとはまったく別の青年の悲劇として提示された。東京の俳優である右近としては完全なアウェイでの舞台だが、見事に近松門左衛門の世界に生きている。名コンビ誕生だ。東京でもこのコンビで見たい」と。
さらに2月歌舞伎評の最後を飾る言葉は
「今月は御園座では團十郎、大阪松竹座では壱太郎、博多座では幸四郎・染五郎、新橋演舞場では團子、歌舞伎座では勘九郎・七之助が、それぞれ父や祖父の当たり役を演じた。20年、30年後に、伝説となっている月かもしれない」と。

これを読みながら、〈團十郎襲名」という儀式が象徴するのは、〈歌舞伎界全体の世代交代が、実力をともなって着実に進行していて、歌舞伎の未来は明るい〉と確信しました。
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2月大阪松竹座、3月南座
3月26日東京新聞の夕刊の1面トップ記事に驚きました。
紙面の真ん中に大きく【2月松竹座の『曽根崎心中』の壱太郎と尾上右近の舞台写真】がカラーで掲載されていました。
その記事は近松門左衛門の没後300年に寄せて編集されたもの。
大見出しは【若手役者ら曽根崎「心酔」】【色あせぬ近松】など。
記事の中で――――一部抜粋
悲劇に遭う女性たちを演じる壱太郎さんは、役者の解釈が試される感覚があるとし、「僕らの世代の新たな近松になる」と話す。
――――一部抜粋終わり

産経新聞 2024/2/13 14:00 亀岡典子の歌舞伎紹介
右近と壱太郎の清新で熱のこもった「曽根崎心中」 大阪松竹座「立春歌舞伎特別公演」

――――一部抜粋
壱太郎は3度目のお初だが、徳兵衛の右近は初役。このコンビが実に新鮮だ。(中略)「曽根崎心中」の復活初演以来、お初を80代まで演じ続けた壱太郎の祖父、坂田藤十郎も最晩年まで、いちずで愛らしいお初をみずみずしく演じたものだ。今回の右近・壱太郎のコンビには実年齢だけでは説明できない、触れればやけどしそうな熱が感じられた。
――――一部抜粋終わり
産経新聞 2024/3/19 11:00 亀岡典子の歌舞伎紹介
壱太郎、右近、隼人 華と勢いが生み出す清新な舞台 京都・南座「三月花形歌舞伎」

――――一部抜粋
次代を担う花形が大役に挑む京都・南座の「三月花形歌舞伎」も4年目を迎え、恒例化しつつある。(中略)生粋の上方歌舞伎「河庄」の治兵衛に挑んだのは右近。近年、中村鴈治郎家の人たちしか演じていない役どころ。しかも上方の和事という独特のムードや、はんなりした味わいが必要な難役である。(中略)こういう役は、演じ重ねていくほどに自分のものになっていくだろう。小春役の壱太郎はほっそりした姿態に寂しさをにじませ、耐える姿の中に遊女のまことと芯の強さを描き、弟の治兵衛を心配する兄、孫右衛門役の隼人は、侍に化けた町人のぎこちなさを、刀の扱いなどで見せた。(中略)
「女殺油地獄」は、近松の名作の中でも特に現代性を感じさせる。(中略)隼人は与兵衛の性根にある気の弱さ、女が甘えさせてしまうような匂いをうまくにじませ、その一方で、殺しの際の狂気を繊細に演じて彼の孤独感をあぶり出した。
――――一部抜粋終わり

亀岡典子の文章全文をここに転載したいけれど、著作権の問題にも関わるのかな? ともかく長文になるので止めておきます。
亀岡典子の歌舞伎紹介は、「歌舞伎が好き」という気持ちをだしながら、的確な解説もしっかり加えているので、気持ちよく読めます。
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中村壱太郎 1990年8月3日生まれ 33歳、
壱太郎の舞台を始めて観たのは、2005年8月9日、比叡山延暦寺で行われた比叡山薪歌舞伎で、片岡仁左衛門に導かれての『連獅子』した。15歳だったんですね。
2010年3月南座・花形歌舞伎、19歳のときに曽根崎心中に天満屋お初を初演するということで、観に行きました。初演の舞台は独特の清新さがきらめいて、凄く良かった!!
記憶に強く残っているのは、まず、
2011年7月新橋演舞場の『江戸の夕映え』で、
市川海老蔵演じる旗本本田小六に、その小六許嫁お登勢の壱太郎です。20歳、清々しい可愛さでした。さらに、
2018年3月歌舞伎座・夜の部の『滝の白糸』で主役の滝の白糸を勤めた壱太郎、27歳。村越欣弥は尾上松也。
その時の私のブログは、

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中村壱太郎、4月の舞台は
【令和の大改修 杮落とし 第三十七回 四国こんぴら歌舞伎大芝居】

『伊賀越道中双六』〈沼津(ぬまづ)〉、

雲助平作(中村 鴈治郎)の娘・お米(壱太郎)。
『松竹梅湯島掛額(しょうちくばいゆしまのかけがく)』の

八百屋お七(壱太郎)。
〈吉祥院お土砂の場〉〈四ツ木戸火の見櫓の場〉〈浄瑠璃「伊達娘恋緋鹿子」〉
〈お土砂の場〉では、松本幸四郎の紅屋長兵衛は、とても面白い予感!
最後「伊達娘恋緋鹿子」、人形振りの壱太郎が素晴らしいはず。見ものですね。

「松本幸四郎、中村壱太郎、市川染五郎の3名が登場し、初日公演直後の旧金毘羅大芝居(金丸座)の舞台上から生配信でお届けします」ということです。。
■配信日時
2024年4月5日(金)20:00~配信 70分程度を予定
※有料配信チケットは、4月21日(日)21:00まで販売しています
※配信開始後・ライブ配信終了後にチケットを購入いただいた方も4月21日(日)23:59までアーカイブ配信をご視聴いただけます
■チケット
2,000円(税込)

5月、6月の舞台は
 

 

 

 

 

 

「壱太郎は、今回がスーパー歌舞伎初出演。兄橘姫と弟橘姫の2役を初役で勤めます」。
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またまた長いブログになりました。
私自身の記憶と記録のために綴っています

 

尾上右近・1992年5月28日生まれ、31歳
中村隼人・1993年11月30日生まれ、30歳
については、後篇として後日ブログアップします。

市川團子、市川染五郎についても書きたいけれど、二人は20歳代なので、まったく違う視点で、ブログを書きたいですね。

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☆話代わって、阪神タイガース、2勝目!! 嬉しい☆

※ なお、敬称についてですが、プロの芸術家や文筆家の方は広い意味での公人ですので、舞台そのものや作品について記す時は、私は敬称を付けません。昔からの慣例です。プライベートな内容と思われる時は「さん」の敬称を付けます。よろしくご了承ください。