壽 初春大歌舞伎@「高麗屋三代襲名披露」歌舞伎座、雑感

皆さん、こんばんは〜竜雲です

今日、竜雲は高麗屋三代襲名披露の「壽 初春大歌舞伎」の昼夜を観てまいりました

…起きられなくて東銀座から走り、開演３分前に座席に座って、急いで双眼鏡の用意をした体たらくなんですが

今月の歌舞伎座、内容がサイコーです

とっても感激しました〜

まずは雑感を

お昼の部

「箱根霊験誓仇討」

これはなんと言っても中村勘九郎さんと七之助さんの夫婦が良くて

七之助さんは強い女の役もできる方なので、初花が睨んだら本当に強そうで（芯が強い女の役なのです）、また見せ場での鬼気迫るところも良かったです〜

勘九郎さんの夫役はやられてばかりですが、それでもどこか品があって。足が立つようになる場面、笑った表情が可愛くて

愛之助さんが仇の役でしたが、ほんとに悪そうで良かったです（笑）別途演目レポを書きます

この演目、何年か前に今の市川猿之助さんと市川笑也さんの夫婦でやりませんでしたか？なんとなく覚えてるような…

「七福神」

これは華やかな面子の舞踊をひたすら楽しむ演目でして

美男美女カップルみたいに見えたのが毘沙門天の中村芝翫さんと弁財天の中村扇雀さん

芝翫さん、めっちゃかっこよかったですし、扇雀さんもめっちゃ綺麗でしたお似合い〜

他の神々は少しコミカルな踊りパートもあり。

福禄寿の門之助さんはとっても老け役で、絵のとおり頭部がめっちゃ長くて、頭を振ったら落ちないのかなって少し心配でした（笑）

ラストは宝船に七福神が乗って…「ああ、３階席からだと見切れてしまうんだ」と思っていたら船が前方に出て来てくれて全員の顔が見えました

…待って。船に７人乗ってラストにポーズ。

ワンピース歌舞伎のラストが一瞬頭をよぎりました（笑）華やかさを楽しむ演目で、芝翫さんと扇雀さんが美男美女カップルでした〜二人だけロマンチックな感じ

「菅原伝授手習鑑」

「車引」

これ、めっちゃ良かったです〜

中村屋のご兄弟が梅王丸と桜丸なんですけれども 勘九郎さん、荒事似合う似合う

隈取りをしたお顔が不動明王みたいな風貌で映えますし勘九郎さん＋荒事はとってもいいです！桜丸も実の弟の七之助さんで、意気がぴったり

そして松王丸の染五郎さん…じゃなくて、新 松本幸四郎さん とっても良かったです

かっこよかった

この三人の回り回るフォーメーションの見得とか、観ていて熱くなりました「阿弖流為」の時も思いましたが、新 幸四郎さんと中村屋兄弟には素敵なマジックがある そして藤原時平も阿弖流為の田村麻呂の叔父上だった坂東彌十郎さんで、完璧ですよ胸が熱くなっちゃって！

大満足の「車引」でした

新 幸四郎さんの松王丸、かっこよかったですし舞台相性の良い中村屋兄弟との車引、こんなにいいものなのか！って目を見張るほど「車引」良かったです

「寺子屋」

松王丸はご襲名の新 白鸚さんまだ「幸四郎さん」と思ってしまいますけど（笑）

大きな大きな松王丸でした

源三役の中村梅玉さんがとても良くて、源三の苦悩と緊張感が流石でした

中村雀右衛門さんが戸浪。千代を雀右衛門さんで観てめちゃめちゃ感情移入してボロ泣きしたいような気持ちもなくはないですが、また別の機会かな

中村魁春さんが千代。魁春さんは芯の強さが見える女形さんだなぁと思いますなので、こちらもボロボロに泣いてしまわずに、物語としての余地を冷静に味わえます。

捕手の皆さんは蹲踞で大変そうですが、成駒屋の中村橋三郎さんが先頭で、中村橋光さんも出てました 捕手も動きがきびきびしててかっこいいです！

松王丸が「桜丸が不憫だ…」と泣くのですが、不勉強な私は「菅原伝授手習鑑」を通して観たことがないので「え〜さっきの演目では元気そうだったあの桜丸は死んでしまったのかな！？死んでしまったんだろうなぁ。しかも無駄死にってこと？」などと観劇しながら余計なことを考えてしまって、せっかくの泣きどころに勿体ないことをしたと思いました

全段予習してから見れば良かった…

子供が犠牲になるお話で（子供自身も幼心に合点の上とはいえ）切ないお話です…

首実検する松王丸、切ないです…

幸四郎さん、じゃなくて新 白鸚さんの松王丸は首桶を開ける前にもう予想がついている

お話も心情もよく伝わってきました。

涎くりで猿之助さん

お元気そうでほっとしました

花道での中村東蔵さんとの引っ込みで

「それはそうと、ケガはもう大丈夫なのかい？」と東蔵さん。

「おめでたいこの襲名披露公演に出るためにいっぱいリハビリしたんだよ」（そういう内容の台詞を）と涎くりの猿之助さん

そして、お怪我をされた左手で東蔵さんの手を繋いで花道を引っ込まれるの…

うるっとしてしまいました

猿之助さん〜〜〜

【祝い幕です】

「高麗屋ー！」

夜の部

「双蝶々曲輪日記」の「角力場」

これ、中村芝翫さんはよく演じられますよねぇかっこいいからいいんですが、何回も観てる気がするので、別の演目も観たいなぁなんて思ったりするのですが…なんだかよく上演されますよね。

私も芝翫さんで観るのは三公演目。

かっこいいからいいのですが

芝翫さんが濡髪長五郎が好きなのかなぁ？

でも演目的には、私はそんなに「大好き」ってほどではないかなぁ？（笑）

今回の放駒長吉と与五郎は片岡愛之助さんでした。愛之助さんは時代物のピリッとした悪役とか良い人のお役が似合うんだなぁ

与五郎みたいなお役で、あんまりナヨナヨしない役者さんなんですね〜。染五郎さん…新 幸四郎さんがこういうナヨナヨ若旦那も得意で、弱い感じがしますよね（誉めてます！）愛之助さんはなんかナヨナヨしないのであんまり弱そうではないんだな…

芝翫さんと愛之助さんの共演は珍しくて、滅多に観られないので「ふんふん」と思いながら観ました（笑）ほんとに珍しいです！

橋吾さんの閂（かんぬき）役は、私は観るの２回目です。いつも、どのくらいから居眠りをしているのかなとチェックしています 

濡髪の弟子2人は、ぽけっと座ってます（笑）団子山は世渡り上手ですが、閂は案外素直っぽいかな（笑）

濡髪長五郎は芝翫さんのお気に入りの役なんだろうか！？

もし松竹さんが演目を決めているのだとしたら「芝翫さんは濡髪長五郎だけじゃなくて他のお役でもかっこいいのよ」と言いたい気持ちです

「口上」

別記事にも書きますが、流石の高麗屋のご襲名とあって錚々たる面々でした

なんだろう…成駒屋さんの時はお練りの時から、元 橋之助さんは「新しい芝翫さん」と思えたのですが、高麗屋さんは口上を聞いてもまだ「幸四郎さん」といって思い浮かぶのは「幸四郎さん＝新しい白鸚さん」のお顔ですし、「染五郎さん」と聞くと今までの「染ちゃん」の顔が思い浮かぶので…しばらく混乱しそうです（笑）

にしても高麗屋の三代襲名

本当におめでたいです〜

この口上で今日初めて中村吉右衛門さんの姿を見て！！次の「勧進帳」で富樫左衛門なんですよね

「勧進帳」

めちゃめちゃ感動しました〜

これも大満足

新しい幸四郎さんのご襲名演目にふさわしい…九代目 松本幸四郎さんが1,000回以上お勤めになった弁慶を、十代目 松本幸四郎として今までの染五郎さんがされたのです

新しい幸四郎さん、気迫いっぱいの弁慶で、精一杯ぶつかっている感じが清々しくて、堂々とされててかっこよかったです 

そして、竜雲が惚れそうになってしまったのが中村吉右衛門さんの富樫左衛門

かっこよかった〜〜めっちゃかっこよかった〜〜皆さんも観てください！惚れますよ（笑）

お父様の初代 松本白鸚さんから習った富樫なのだそうです（口上で語ってらっしゃいました）

富樫って元々かっこいいお役ですが、吉右衛門さんの富樫、ほんとにサイコー 弁慶たちを呼び止めるところも惚れました（笑）

吉右衛門さんのお役で私が好きなのは碇知盛ですが、富樫も同じくらい好きです！かっこいい！

そして強そうな四天王

中村鴈治郎さん、中村芝翫さん、片岡愛之助さん、中村歌六さん

鴈治郎さんもかっこよかったですし、芝翫さんに至ってはいつも弁慶で観ている役者さんなので四天王をお勤めなのが新鮮でした いつもシンをお勤めの方は並んでいる四天王をお勤めになってもしっかりされてるなぁ、なんて当たり前のことを思いながら観ました（笑）

片岡愛之助さんの四天王も、珍しいかもしれませんね！？かっこいい姿でしたよ

歌六さんは皺をくっきり書いて老け役の常陸坊。

新しい幸四郎さんの弁慶を、四天王をお勤めのみんなしっかり見てらっしゃいました

新しい染五郎さん（金太郎くん）は台詞とかはこれからですよね 口上で梅玉さんが言ってらしたとおり「品のある」演技をされますよね〜

ダヴィンチの描く絵のような中性的な感じに綺麗な姿の義経でした

吉右衛門さんの富樫がめちゃくちゃかっこいいし、新 幸四郎さんの弁慶は気迫いっぱいで、四天王もかっこいいしほんとにほんとに大満足な「勧進帳」でした

しかも、もちろん鼓には竜雲の好きな田中傳左衛門さんがいらっしゃって

ほんとに、サイコーの「勧進帳」

大満足でしたよ〜

新しい幸四郎さんも立派で、ところどころやっぱり幸四郎さん＝新しい白鸚さんの弁慶を彷彿とさせるところもあって。何より力いっぱいの舞台が気持ちいいです

そして吉右衛門さんの富樫のかっこよさ、ヤバイですあんな問答無用でかっこいい富樫…

吉右衛門さん、流石と思って、観劇中に「かっこいい〜」しか出てきませんでした（笑）播磨屋さんの底力を知りました

そして最後の舞踊は、竜雲は用事があって見てないのですが

大満足な一日でした〜

それでは皆さん、良い夜を〜