「髪結新三」レポ2(永代橋川端の場)@国立劇場 | 油絵で歌舞伎! KABUKI OIL PAINTING

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幕が開くと永代橋。

太鼓で雨音が表わされて、町人たちが上着を頭からかぶり雨をよけて駆けてゆきます。
まるで浮世絵の中の世界~音譜 お江戸情緒なのですよビックリマーク

今月の国立劇場の筋書の表紙に使われている浮世絵のまんまニコニコ
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楽しい幕開けです音譜

シャッ!と揚幕が開くと、お熊を乗せた駕籠(駕籠の端からお熊の着物がはみ出ています)と、新三の手下の勝奴(中村国生くん)。ここは一瞬ですね。静かな場面ですし、すぐに舞台を通り抜けます。勝奴は顔見せ程度ですが、なんだか悪そうな感じです。

シャッ!と揚幕が開く音がして、花道からなんと門之助さんの手代忠七と、主役の橋之助さんの髪結新三が相合傘で出てきます~ビックリマーク まあ、お二人で相合傘とは。

あれ?でも・・・橋之助さんの顔が不機嫌です。さっきまでのにこやかな印象とは全く変わっています。これは一体どうしたこと?

しかも台詞にも言い方にもトゲがあります目あせる
超イヤミな人になっているのです。

「相合傘から手を放しなよ」→「あんまり傍へ寄んなさんな。足がからんで歩きにくいや」
(冷たい、冷たくないですか?)

忠七「それでも放れて歩きますと、体が濡れてなりません」
新三「贅沢なことを言いなさんなよ」
(やっぱりトゲトゲしい。贅沢なことって・・・目

しかも忠七が吉原で買った下駄の鼻緒が切れてしまって、忠七が「安物だから」みたいなことを言うと「安物買いの銭失いとはここらのことを言ったもんだろうな」と、ものすごいイヤミな人になってるんですよ!

さっきまで子供に愛されて笑顔だった新三さんと全く感じが違うので、この花道は本当にびっくりしてしまったんです。

忠七は鼻緒を作ろうとして、こよりを作りながらの台詞です。

挙句の果てには、新三は「勝手に鼻緒を立てな。俺ァひと足先ィ行くよ」と一人で行こうとします。
それは不人情だと責める忠七。
「なんぼこなたが濡れぬからとて、わしが買ったその傘を一人で差して行こうとは・・・」この台詞ではいつも会場から笑いが起こるんですよw 

この場面で「わしが買ったその傘を」なんて言う人もなかなかいないですよね(笑)

ここからの新三は、難癖ばかりつけるんですヾ(。`Д´。)ノ

でも忠七は気が良いから謝る。
ちなみに新三が「なんだおメェ謝るのか」と言った時に、門之助さんが「ハイ」と言っていたのが素直で可愛かったですw

更には、「なんでおめぇが俺の家に来るんだ」「おめぇ寝ぼけてやしねぇか、川の水で面でも洗いな!」
などと(そこまで言うかというくらいの)悪口を・・・忠七もここでやっと新三がお熊を連れ出す口実だったのだとわかります。

新三の頭の中ではもう別のストーリーができているのです。盗人猛々しいとはこのことだわぁ叫び
『お熊は俺の恋人。だから連れ出した。この忠七はそれを羨んで俺をつけてきた。言いがかりをつけてそれを取り上げようとしている』

それに気づいた忠七は新三に食ってかかりますが、新三はチンピラですから喧嘩も強いんです。
踏みつけられて見得を切られるのです!

ここは、大向こうさんたちが「待ってました!」「成駒屋!」と入れるところなんです。。。
随分長いキメ台詞の口上があります・・・ けっこう長い間、踏みつけられている門之助さん。。
新三ファンにはたまらない場面だと思います。この忠七を踏みつけての見得が一番絵にされているのでしょう?

で、この辺りを聞いていて一番面白いなぁというか、不思議だなぁと思ったのは、忠七というのは決して強くない手代さんなんですが、台詞の端々に「この忠七」という言葉が入るのです。
「ここまで二人、相合傘で連れだって来たこの忠七」
「こりゃこの忠七を、から傘で~」

私に置き換えてみれば・・・「こりゃこの竜雲を」と言っていることになります。
その心は、そんなにも自分が可愛いのか、それとも自尊心が高いのかどちらかですね。
自尊心が高いのかな?

新三に額を割られて、もうボロボロの忠七さん。。
「後を追いかけて行こうにも場所もわからないし、道もぬかるんでいるし真っ暗だし・・・」と言うのです。

もしもーし!アナタのお熊さんへの愛情はそんなものですか!?
(暗くっても行こうよ!恋しい女を助けるためだ、ぬかるみなんか気にしないで行こうよ!
道がわからなかったら人に聞こうよ!)


しかし忠七は橋の上でよろよろとして、そこで少しキメ台詞があるのです。
「あの新三めにたばかられ、お主(おしゅう)の娘をかどわかされて」と。
門之助さんはうまいです。でも忠七はいいとこなしなんです~~あせるいやもういいとこなしのところがうまいというべきか・・・汗

「コリャもういっそこの川へ。死ぬより他に思案はないわえ」
(えっ、死ぬの!?目死ぬ気があれば、何でもできる!!新三のところに行ってお熊さんを取り返してくればいいじゃん!)

で、忠七は駆け落ち相手のお熊のことを「今頃は新三に手籠めにされて・・・」と、絶望して身投げのために袂に石を詰めるのです。う~ん・・・なんと痛々しい。

そこで下手から登場、「萬屋!」中村錦之助さんです。
弥太五郎源七という、昔はブイブイ言わせた親分です☆ 

弥太五郎源七も「俺も弥太五郎源七よ」と自分のことを言います。相手とは顔見知りであっても。
江戸時代の人は、自分の名前を名乗るのが身上だったのでしょうか?

で、ここで助けてもらった親分と忠七の会話で、
忠七「不忠と知りつつ色に迷い、、逃げ出したのが誤りで」
源七「一足遅く来たことなら」 忠七「かけがいのない命をば」
とあるんです!
つまり「不忠と知りながら色に迷って逃げ出したのは誤りだった」ということを言っているんです。

忠七はあんまりお熊さんのことを好きではなかったのね。。。
本当に好きで大事だったら、助けてくれた親分に「私の恋人が新三に連れ去られました。自分はこんな有様なので、助けに行く手助けをしてください!」とまず頼みますでしょう?私なら頼みます。
薄情者です、忠七。

さあ、そうしてお熊を連れ戻しに行くのは弥太五郎源七と決まったところで幕。

忠七は白子屋に戻ってどう言い訳するんでしょう?こっぴどく絞られるのでは?
「私が悪うございました。お熊様は必ず(他の人が)取り戻してくれます」そんな感じでしょうか~~
だとすると、なんだか少しずるいですよね。

私が親だったら、本気で連れ出したのであれば許しもしようがあるけれど、そんな気の迷いみたいな気持ちで連れ出したのか!!しかも誠意が見られない!って怒ってしまいそうですよ(笑)

さてさて。竜雲は帰省いたします。いざ広島へ!

それでは~

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