以上のチームを挙げてくれたのは、あるナ・リーグのスカウト。「イチロー(との契約)は、その6チームの争いになる」と予想した。
最も資金力のあるヤンキースにとって、イチローは戦力としてどうしても欲しい存在。ジョニー・デーモンの守備力には疑問があり、ライトを守るボビー・アブレイユの来季の契約はオプション扱いで、チームはそれを行使しない予定。となると、両ポジションを守れるイチローは魅力的で、しかも頼れるリードオフマンが手に入る。
ただ、ニューヨークの地元メディアに聞けば、ヤンキースとしてはブレーブスのアンドルー・ジョーンズが第一候補であり、ツインズのトリー・ハンターからもラブコールを送られている状態とのこと。「イチローを無理に獲りにいくことはない」と、あるニューヨークの記者は話していた。もちろん、松坂と同じような理由だが、「イチローと松井秀喜がスポットライトをシェアすることはできない」という見方も根強い。
とはいえ、数年前にヤンキースは王建民とメルキ―・カブレラ(もしくはロビンソン・カノ)をセットに、イチローのトレードを画策したと言われる。可能性は低いが、彼らがイチローに興味を持っていないわけではない。
メッツは、イチローに興味津々。リードオフにはホセ・レイエスがいるが、イチローとレイエスの1、2番なら、いろんなことができそう。そして、ライトも空いている。イチローを獲得する資金力もあり、彼らがイチロ-を獲りにいかないという理由が、今のところ見当たらない。また、松井稼頭央では失敗したが、マーケット拡大を狙う上でも、イチローというソフトは魅力的だろう。
エンゼルスは、センターにゲリー・マシューズ、ライトにウラジーミル・ゲレロがおり、非現実的か。ましてや、同地区のライバルに引き抜かれるようでは、マリナーズの立場もない。移籍を覚悟するにしても、それだけは阻止に動くだろう。
ドジャースはダークホース。ただ、フアン・ピエール、ジェーソン・シュミットの長期契約でつまずいており、イチローとの長期契約には、ちゅうちょするかもしれない。そもそも、資金があるならば、なぜ松坂大輔を獲りにいかなかったのか、という声もあり、イチローに1億ドルをつぎ込むことには、どこかで抵抗も感じているはずだ。
マリナーズに関しては、資金的に1億ドルの用意はできる。チームも再契約に自信を持っている。5月から6月にかけて、イチローはチーム不信とも取れる言葉を発し、その時点では雲行きも怪しかったが、考えを共有できるジョン・マクラーレンが監督に就任したことで、情勢は変化しつつある。再契約に向けて、決断の追い風になることは間違いないだろう。昨日の、「明確な意図のあるプレーがあった。この2年間ではなかったプレー。きょうの時点で見えているものがある」というコメントは、それを裏付ける。
さて、先週と今週の2回で、一通りの可能性に触れたつもり。マリナーズという選択肢を最後に残しながら、様々なオプションを考えたが、昨日のイチローのコメントで、考えていることがむだに思えてきた。
イチローが、そのチームのスタイル、監督の考え方に共鳴した場合、1億ドルを下回ろうが、契約に合意するケースも考えた。例えばカージナルスなどは、かつてイチローがトニー・ラルーサ監督の戦術に驚嘆したこともあったので、否定はできなかった。
だが、マクラーレン監督の下でプレーしたいという意志がすでに覗く。メッツが相当激しくイチローにアプローチをかけるだろうが、そうした感情がイチローにあるなら、彼は何よりもその気持ちを大切にするだろう。
皮肉にも、指揮官交代後の2試合は落としたが、今後、マクラーレン監督とイチローの絆がさらに強いものとなるなら、マリナーズ残留がやはり本命ということになりそうだ。
