初回、二塁打を放ったイチローが、三盗を試みた。昨日、途中交代を強いられた死球の影響はないのかと、誰もが思う。しかし、その裏にはイチローの強い思いがあった。
その前のプレー。この日、2番に入ったホセ・ロペスが犠牲バントを試みている。バントは小飛球。投手と捕手の間に打球は落ちたが、イチローが動けるはずもなかった。しかしこのバントは、ロペスの判断によるもの。
「チームが勝つためにプレーをする」という、彼の気持ちは、確かにイチローに伝わった。
試合後のイチローは、その場面を直接問われたわけでもないのに、そのプレーを語り始めている。「1回、ロペスがバントをしたでしょ? あれは、チームにとって、すごくいい。影響を与えると思うよ」
影響をダイレクトに感じたのは、ほかでもなく塁上のイチロー。直後の三盗は、熱い思いに突き動かされてのもの。あざが残る死球による足の痛みなど、かまっていられない。「(ロペスのミスを)カバーしたいという気持ちが、あの盗塁にはありました」とも、激走に込めた思いを、イチローは口にしている。「じゃなかったら、行ってない」
意図の見えるプレー。常日頃、イチローがチームメートに求めるプレーだ。ロペスなら、セカンドに転がすこともできるだろう。しかし、あえて、より確実であろう犠牲バントという形を選んだ。その試みは失敗したものの、イチローは意気に感じていた。
イチローの言葉を伝え聞いたロペスは、大きくほおを緩めている。「チームのために…」と形式的な言葉ばかり並べていたが、そのときばかりは「こっちが感謝している」と苦笑いした。
イチローがミスを帳消しにしてくれたからか。イチローに、ある意味ほめられたからか。
その真意は、またロペスに確認をしなければ分からないが、イチローはこう言って会見を締めくくっている。
「これまでになかったものを、感じた」
イチローは、このチームに今、大きな大きな可能性を感じ始めているのかもしれない。![]()
今年のマリナーズは違いますね~一丸になっている雰囲気が感じられます![]()