(6-23)積極的な彼女
| カセット交換事件から二月後のことである。 | |
車を運転している時、彼女の右手がふと上がったような気配がした。 そして僕の髪に無言で優しく愛おしい手つきで触れている。 |
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| 車はかなりのスピードが出ている。 | |
| これは不味い。 | |
| 今まで僕に指一本触れようともしなかったのに・・・。 | |
付き合い始めてから僕の知っている女性とは別人だ。 今日は積極的だ。 |
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| 君が好きで好きで、そして抱きたくて堪らない男性にとって、その挑発は自制心を狂わせてしまう。 | |
| 「この結末がどういうことになるか、君は知っている?」と心の中で叫んだ。 | |
このままでは、ハンドル操作の誤りから事故を起こす。 今すぐ急ブレーキを踏んで車を止めたいが、すぐ真後ろには車間距離が余りない車が後続している。 |
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即、彼女に襲い掛かりたい願望で、車の中の空間はガソリンから気化されたガスで充満している。 まさに一触即発のムードになっていた。 |
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| 突然、黄信号が点灯した。 | |
僕に触れたいという衝動から出た行為でも、今は駄目だ。 こんなことを言ったら恥ずかしい気持ちにさせるが、「あ~、びっくりした。運転中は駄目だよ」と正面を向 |
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| いたまま、優しく言った。 | |
| 声に反応して、すぐさま触れるのを止めた。 | |
| 無意識に好きな人に触れていた自分に気が付いたようだ。 | |
またしても両手を両頬に当てて十分程俯いていた。 彼女の頬と首は前回よりも濃いピンク色に見えた。 |
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| その姿から自身の行動をコントロールできないくらい、僕を好きになっている。 | |
| その事実を認識して幸せな気持ちに浸っていた時に、今のタイミングなら、どこかで車を止めて、彼女の | |
気持ちに応えるために、助手席に押し倒してキスを求めても、ブラジャーを取っても、乳房に触れても無 条件で許してくれ、場合によってはラブホに行けるかもしれない。 |
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| 絶好の機会だということを綺麗さっぱり忘れていた。 | |
それほど僕は幸福感に満ちていた。
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