(6-11)初めての手紙
お久しぶり。 君に手紙を出すのはこれが初めてだね。 君が生きていたら切手を貼ってポストに入れるのだけど、もうそれはできない。 |
君が死んだことを先週知ったよ。 君の家に電話をする時に、なんとなく君が生きていないような感覚が微かにしたんだ。 不思議だけど、どうしてだろうね。 二人の心が今でも通じ合っているから君が教えてくれたのかもしれない。 |
初めて君と付き合っていた時の事を文章にしてみた。 書いているうちに十数年前の出来事がつい昨日のような錯覚に陥って最後の別れの場面ではキーボー ドを打ちながら感情が高ぶって、涙が止まらなかった。
本当に辛い思いをさせてしまった。 いまさらごめんなさいと言っても、伝わらないだろうけれど・・・。 |
| 昨日、君のお母さんと会って話をしたんだよ。 |
| 君が僕のことをどう思っていたのかを、聞いてみた。 |
お母さんが懐かしそうにこんな話をしてくれた。 初めて僕と会った時に、あまり恋愛感情を話すことのない君が、お母さんに「ステキな男性がいる」と言っ たそうだね。 |
| 僕も初めて君と会ったときに、すぐに惹かれたんだよ。 |
あの時、君も僕も同時に好きになったんだね。 君のような魅力的な女性と付き合った経験がなかったから声をかける勇気がなくて、結局二人の関係は 何も進展しなかった。 |
| 君はその時どう思っていたのかなあ? |
| 「じれったい人!」 |
| 「何故、積極的になれないの?」 |
そんなことを思っていたかもしれないね。 君も恥ずかしがりやの性格だから僕のことを意識しても、それを表面に出すことはできないし・・・・。 |
お母さんから僕たちが付き合い始めて最初の頃の君の日記をもらったよ。 その日記を読んでいると、忘れていたことがいろいろ書いてあった。 |
次回は(6-12)偶然の出会いです。お楽しみに