(5-23)電話
彼女が今から電話をする家の家族の一員だったかどうかを確認する日がきた。 なんとなく不安は感じていた。 それは以前、実家を探した時、この世に存在していないのではないかと言う予感がした。 まさか、そんなことはあり得ないと、無理やり結論付けた。 |
次に電話をする時の偽名はどうしようかと考えた。 ふと浮かんだ苗字が原だった。 そこから原呉服店にしようと決めた。 呉服の売り込みの話なら実家の人も神経質にならないだろう。 この偽名を利用して電話することは興信所の社員のアドバイスだった。 |
お父さんごめんなさい、偽名を使ったりして・・・。 でもどうしてもお嬢さんの消息を知りたかったんです。 |
偽名で電話をする以上、僕の家から電話をするのは後々問題があると思い、近くの公衆電話からする ことにした。
電話番号をプッシュした。 5,6回ほど呼び出し音が聞こえた後、年配の男性の声が聞こえた。 |
| 「もしもし」 |
彼女の声ではなかった。 お父さんが出たようだ。 |
| 「原呉服店ですが、榊原さんのお宅でしょうか?」と言った。 |
| 「榊原ですが、どちらさんですか?」とちょっと怪訝な声で、聞き返してきた。 |
| 「原呉服店ですが」と言った時、 |
| 「呉服店?呉服店が何の用ですか!」 |
少し興奮したような口調が聞こえた。 これは不味い。 僕は偽名で電話をしている。 こっちの身元がばれないうちに、早く彼女のことを聞きたいと思い、「敦代さんはいらっしゃいますか?」 |
| と、尋ねた。 |
次回は(6)彼女の日記です。お楽しみに
株の話 |
ダウが本日も大きく下げて、あっさり9000ドルを割り込みました。
今日も日経は大きく下げるでしょうが、騰落率が50%台とテクニカル的には大底圏にあります。
通常ならリバウンドがあってしかるべきですが、現在の状況はそう単純ではなさそうです。
諸悪の根源であるサブプライムローンの根が深く、プライムローンにも魔の手が伸びようとしています。
アメリカ政府は所得減税をしましたが、消費に回るのはせいぜい30%で効果は薄いと言わざるを得ません。
また米欧等が金利を一斉に下げたが、効果が薄く、根本の問題を解決しない事には収まりそうもありません。
根本の問題は何かと言うと日本のバブル崩壊と同じで、不動産価格が下げ止まっていない事です。
不動産価格が下落を始めてまだ1年ですが、下げ止まるまであと2年はかかるのではないでしょうか?
下げ止まらないと買いたい人は手控えますから、現在の住宅在庫は記録的に膨らんでいます。
住宅ローンで日本と決定的に違うのは日本は人に貸すが、アメリカは住宅に対して貸し付ける事です。
従って借り手はローンが支払えなくなると家を出て行けば話は終わるのですが、問題は貸し手の銀行です。
住宅価格の下落は続くし、少々値下げしても売れない状況に陥っています。
従ってこれから銀行の倒産が多く出るのは避けられず、これから最低2年は続きそうな状況です。
そこで公的資金の注入による資本増強しか、残された手はないという事になります。
ポールソン米財務長官が銀行への公的資本注入を示唆していますが、全ての銀行に対してできるはずもなく、
多くの金融機関が破綻に追い込まれる事は避けられそうもありません。
不動産から始まり、銀行に飛び火して、遂に産業界全体に暗い影を落とし、GMの倒産も噂されています。
グリーンスパン元FRB議長は1929年の大恐慌に相当する危機だと指摘したが、ブッシュ大統領と共に今回のバブル崩壊の原因を作った張本人が言っているのだから間違いないでしょう。
本日G7の会合があるが、市場安定に向けて資金供給策を拡充するなど協調体制の強化を探る構えらしいが、果たしてどれほどの効果があるのだろうか?
体力の無い不動産・銀行・企業がこれからも続々倒産していくのだろうが、日本の不動産バブルと比べて家を手放した国民が負債を一切負っていないのは強みかもしれない。
従ってまだ30%前後下落するであろう住宅価格が下げ止まるまでチキンレースは続きそうである。
安全と思われていたリート銘柄のニューシティ・レジデンスと大和生命の倒産も下落に追い討ちをかけている。
日本の不動産バブルの時は日本だけの問題であったが、今回は世界恐慌の様相である為、問題は今回の方が大きそうです。
既にアイスランドの国家破綻危機の話もありますし、世界的な規模での不況が来れば、前回の日本の危機とは比べ物にならないのかもしれません。
持ち株を処分できる人は全て処分した方が良さそうだし、トレードをするのも当分デイトレに限定するのが賢明な策だと思います。