1,作品と登場人物紹介
1986(昭和61)年から65話放送された、マーベルによるTVアニメシリーズ物では一番の長寿番組-
「アース・ディフェンダーズ」はミンの地球侵略を描いた異色物で、敵味方主要登場人物(AIとマスコットキャラも合わせて)が総勢14人という最多を誇る本作は、彼らの子供たちが活躍する話が多いのも特徴となっています。
登場人物が多いので、本編前に紹介します—
1,ゴードン、妻(デール・アーデン?)⇒AIダイナックX、息子リック、モンゴの地底動物
2,魔術師マンドリン、息子クシン
3,マンドリンの用心棒ローター、息子LJ(ローターJr)
4,ジャングルの王者ファントム、娘ジェッダ
5,ミン、息子クロタン、AIオクタン
―ですが、見る時は《〇〇の子供、AI》という簡単な認識でいいと思いますwですが、ミンの息子オクタンは映画の主役にもなる最重要人物なので、彼だけはしっかり認識してみておくと面白いと思います。
ですが、65話もある長編大河物だけに見るのも一苦労となる所ですが、それほど長寿作品だけに劇場版が4本もあり本編から印象的なエピソードをまとめているので、それだけでも「アース・ディフェンダーズ」を楽しめるようになっているようです。それから、TV版を見ると劇場版に編集された時に多少カットされてとはいえ、劇場版で扱われたエピソードを外せるので、視聴も楽になると思います?w
本作はミンが地球に居座ったまま終了してしまいますが、ここでのミンは前線に立ちたがる―皇帝よりも武将といった趣で、これまで視覚化された物では一番エキゾチックな風貌をしています。
劇場版は、「謎の書(#31~35)」「クロタン王子(#46~50)」「オロスの首飾り(#56~60)」と、今回見る「物語の始まり」を併せて4作-各1時間半ほどの上映時間。
2,劇場版「物語の始まり」
襲撃を受けた戦闘機がとある屋敷前に墜落-屋敷主のマンドリンが駆け付けると、そこにはゴードンが。
マンドリンがゴードンを介護している所に、ミンの手下がーしかし、マンドリンの催眠術に騙されて、幻のゴードン機を追っていく。
気が付いたゴードンは、モンゴの暴君ミンが地球を狙っている事を知らせる。
その頃モンゴでは、ゴードン妻子がミンに捕われていた―ミンはゴードンの居場所を探るために、ゴードンの妻を拷問する。
息子リックが母親を助けに来るも力及ばず―その時、リックが知り合った地底生物が彼の母親が持つ結晶を持っていく。
そこに、ゴードンらアース・ディフェンダーズがリック母子救出にミン宮殿を急行するが遅し、ミンは地球を目指し妻も絶命。
ミンは、悠然と地球の氷原地帯に到着すると、すぐにアース・ディフェンダーズに罠を仕掛ける策を講じる。
ミンの計略で、リックとLJらが通学先でさらわれる。
ジェッダが黒ヒョウに、誘拐犯の後をつけさせて、テレパシーで二人の居場所を突き止める。
アース・ディフェンダーズが目的地に到着すると、ミンは彼らを捕まえ電気ショックで黒焦げにしようとするが、脱走したリックらが母の精神が入った結晶の力で、発電所にたどり着き電力を切っていた。
ミン、計略が失敗と見るや撤退。
リックの母親の精神が入った結晶は、リックがコンピューターに接続し母をアース・ディフェンダーズの戦略AIダイナックとしてよみがえらせる。ダイナックとなった母により、ゴードンの助太刀となる宇宙人戦隊来訪が告げられるが、ミンの知る所でもあった。
ミンの戦闘機に襲われる味方を助けにゴードンが出撃すると、それを見たさにクシンがマンドリンの屋敷近くにある山に一人で行ってしまう。そこでミンに気付けられ、彼の手下に捕われそうになるが、逃げた先がマグマでミンの手下はそれによって溶けてしまう。
クシンの情報で、アース・ディフェンダーズは前線基地を山の中に作る事にしたが、それもミンに気付かれ急襲されるが爆発を偽装し、ミンをだます。
ミンはアース・ディフェンダーズの基地を破壊できたと思い込んでいると、マンドリン屋敷近くに配置した監視カメラに仲間の宇宙人戦隊を見送るゴードンの姿を見る。
強力な爆弾を積んだ宇宙船が地球に墜落―アース・ディフェンダーズ、それを狙うミンの手下に出し抜かれるも、間一髪彼らが宇宙船を積み込んだのを見計らって、彼らの運搬船を乗っ取り基地に帰還―宇宙船の爆弾コード解除できるまでのクシンが作った疑似世界を体験する事になったが、ミンが自分の戦略AIオクタンを介してクシンの疑似世界を操り始めた―が、メカの天才リックが異変に気付き、ミンの介入を何とか遮断する。
ミンは、ファントムの兄に力を与える。
ファントムの兄は、20年前に父の跡目を継ぐためのテストを弟と受けるが、兄弟で協力する所が弟をけり落そうとする―それを父に知られ、跡目を弟に継がれてしまう―出来損ないの弟がなぜという気持ちで、今更ながらも跡目継ぎのテストをやり直しを弟ファントムに強制する。
しかし、兄は天候を操る能力で20年前同様に弟を陥れようとするが、二人を追ってきたジェッダにより崖から突き落とされる―が、能力で何とか助かるも、監視カメラで一切を見ていたミンは彼を見放す。
(↑内容は本編とは全く違う物ですが、表紙になっているのが下記のウィルス生物)
ある時、アース・ディフェンダーズに世界チェス協会から戦略AIダイナックを招待したいと申し出があった―だが、それはミンの罠でミンは超小型ウィルス生物をチェス会場で接続されたダイナックの端末に侵入させる。
それにより、ダイナックは完全にミンの支配下となり、宇宙基地で宇宙船修理するゴードンとファントムを足止めさせ、前線基地に残る子供たちを軟禁する形にした。しかし、チェス会場から帰ってきたマンドリンらが基地から締め出されている事で、ダイナックが乗っ取られた事に気付き、リックが開発したスモールライトでダイナックの内部に入り込み、ミンが放ったウィルス生物を退治する事となった。
ウィルス生物に追われる中で、リックがダイナックのメイン部分母親の記録がある所まで辿り着くーしかし、彼の身の前にいる母親の映像もミンに操られて、壊していけない所を壊すようリックに指示した。
それにいち早く気付いたマンドリンが幽体離脱して、リックの目の前に現れて、それは嘘と告げる。
騙された事に気付いたリックは、一緒に来ていたLJとジェッダと協力して、襲い掛かるウィルス生物を退治し母親の記憶を守る。
ダイナックが回復すると、宇宙基地で足止めされていたゴードンらは地球に戻り、ミンが隠れる発電所を攻撃し、ミンを追い払う。
3,何でもありの魔術師マンドリンと、ヒーローの家族愛
偉く変わったアメコミヒーロー物といった感じの本作で、一番の異色キャラはマンドリン職業マジシャンが着るタキシード姿で、颯爽とアクションし、難題を全て《魔術》で片づけてしまう野放図さに、
「ちょっとまで、これってSFだよね?!それって、ないでしょう!!」
と、突っ込んでしまいましたw←ファントムもなんともはやですが、その娘ジェッダは範囲内w
しかし、このファンタジーと空想科学がごっちゃになったカオスな世界観が米国の視聴者に受けたのか、65話放送され4本も映画化したフラッシュゴードンアニメ物では、一番人気の本作―「物語の始まり」を見ていくと、ダークでアダルトな雰囲気を持つマーベルコミック、(かなり人物演技と作画崩壊はしている物の)1980年代日本でのアングラ調OVA(オリジナルビデオアニメ)を見るような感覚に捉われ、ちょっとはまってしまいました。
このフラッシュゴードンアニメシリーズ第2期は、他の同作品よりもファンタジー色が際立っている―異色中の異色といえます。
ミンも、ここだけのオリジナルーこのシリーズだけです、地球まで出張って暴れているの!www
↑と見ている内に、
「この人、モンゴの皇帝と言う割には、なんてそう前線に立ちたがるのだろう?第六天魔王・信長?」
と思ってしまいます―英語版Wikipediaにも、《スーパーヴィランか武将のような》と紹介されていますw
内容としてはガンダム総集物ですが、本編そのまま当てはめた無カットに近い形になっているようですー今回見た本作は、どちらかというと「アース・ディフェンダーズ」を知らない人向けにまとめられたような内容なので、一本の映画として成立していると思います。日本でやるならば、「謎の書」「オクタン王子」「オロスの首飾り」の前に、本作をプレミア上映として流せば3部作も抵抗なく見れるかもしれません←なんか、劇場版どれを見ても全て独立していて違和感なく見れたりして(;´Д`)。
実際見ると日本人好みな渋い内容で、ミンも含めて家族の愛情・確執・葛藤を描いたまるで日本ハードアニメ的内容で、ミンの残忍さも凄味があります(これで人物演技と作画さえ決まれば最高でしたが・・・)。
ちなみに、ミン役を演じた声優さんのコメント映像も見れる状況らしいので、劇場版全て見ましたら一旦ミン役の人のコメントも見てみようかと思っていますーしかし、この「アース・ディフェンダーズ」・・・ミンとクシンといったアジア系のキャラ描写に関しては、少々疑問がありますーいわゆる欧米人的目線を強く感じられます。それが、東映動画も参加しているのに日本では紹介されない要因かもしれません・・・