今日、横浜のムービーで今年のドラえもん映画「空の理想郷(ユートピア)」を見ました。

 ↓ポスターの後から感想に入ります―《まだ見ていないから最後まで知りたくない》という方は、ここで止めて下さいとお勧めしますが、読んでも楽しく見れるようには書こうと思っていますw

 冒頭、22世紀の大氷原でタイムパトロール部隊がパラトビアに迫るも、そこを采配する三賢人に気付かれ、時空移動で逃げられるーそこから、いつもののび太の時代に―出木杉君の理想郷伝説話から、のび太が空に浮かぶ三日月型の島を見る‥‥出だしのSFサスペンス的流れから、いつもの日常的風景に忽然とありえない物が現れるという冒頭は、まさに藤子F先生のSF短編集的な雰囲気で何かゾクッとさせると共に、胸にざわめきを感じる触感をありました。

 いつもの仲間で、のび太が見た《空に浮かぶ三日月型の島≠理想郷》を探しに、時間移動飛行船タイムツェッペリンで様々な時代へ飛んでいく―

このタイムツェッペリンがかっこいい!!ドラ映画は、いかにもSFというよりも19世紀のレトロフューチャー風なのが凄く似合います―こうした19世紀風デザインが、児童向け冒険活劇的雰囲気を醸し出し、大人もワクワクさせます。

 それらを見ていると、最近見た1930年代後半の米国SF連続活劇映画「フラッシュ・ゴードン」を思い出します―その当時の米国SF物で描かれるメカが好きで、タイムツェッペリンやのび太らの飛行服は見ていてワクワクしました。

 その反面、今回はまさに藤子F先生の「SF短編」を地行く《大人のドラえもん》といった感じで、のび太らが空の理想郷を見つけ接近する所から、すでに怪しさが爆発していました―赤く目を光らせているソーニャ自体怪しいw

 三賢人も、初登場からすでに《人でない》と感じがして、もう不穏な気配を醸し出しています。

 しょっぱながら、ゲストキャラが不穏に感じる演出となっています。

 そんな中、ソーニャがダメ子守ネコ型ロボットだったという過去を話した所で親しみを感じるようになり、ドラ映画史上初-《賞金稼ぎ》という職業なさっているマリンバも、早々にシリアスキャラの座を降りてしまったのは、びっくりですーさすがに、マリンバまでシリアスだと展開的にきつくなるからだと思いますが、こんなシリアスキャラをこれでもかという位にコミカルにしてしまうのは、スタッフのおもっきりは凄いです!!(;´Д`)←そのおかげで、《愛されキャラ》になったから結果オーライといった所ですが、まさに《裏技》的キャラになりましたね、マリンバw…名前から、はなっからシリアスキャラにする気ないのが満々に感じますwwwww

 全体的に、「空の王国」をダークに翻案したように見えます―「奇跡の島」「新宝島」で、それぞれ《絶滅危惧種と密猟者》と《箱舟伝説》をピックアップし翻案したように見えましたが、この「空の理想郷」はある一人の歪んだ理想によって作られた戦慄の《ディストピア(反ユートピア)》世界を描いた、児童向けとは思えない作風と感じました―脚本が、現在NHK大河ドラマ「どうする家康」も手掛ける方で、大河ドラマ好きの私としては

《「家康」が始まったばかりで作風が掴めていないけれど、「家康」もこんな感じになるんだろうな》

と、感じました。

 そういえば、「空の理想郷」自体「どうする家康」っぽい…すると、のび太が家康でしずちゃんが家康の奥さんで、ジャイアンとスネ夫は家臣団、ドラえもんは爺や?w展開も今週放送分までのエピソードっぽく、三賢人とソーニャも…はまっていますけど、どんな役かと当てはめるのはちょっと危ない物があるので、そこは割愛しますw

 しかし、日本児童向けアニメで、こんなに《ど直球》な内容はこの作品位だけかもしれませんね―日本アニメーション「宇宙船サジタリウス」「ヤマトタケル」、米国のフラッシュ・ゴードンアニメ第3期を思い浮かべますが、これらは《どの年齢層を狙っているのかわからない》という感ですが、ドラえもん映画は明確だけに今回はびっくりですーここ近年、対処年齢上がっている気もしますが…

 クライマックス展開は「人魚大海戦」と「南極カチコチ大冒険」をミックスした作りで、パラトビアがのび太の街にタイム移動し、タイムツェッペリンが出発した所から過去のと入れ替わり、先の時間軸にいるのび太らが町を守るために大活躍するーまさに米国SFの大家ハインライン「夏への扉」と同じ展開ですが、ハインラインのは不完全なタイムワープで冷凍睡眠後の時間に戻るのですが、こちらはレイ博士によって連れてこられるという展開です。

 「南極カチコチ大冒険」でもクライマックスでドラえもんが話から外れてのび太が頑張るという展開で、今回も同様な展開になっていますが…今回は、まさかの虫にされたので難度は「南極」よりも高く、タイムツェッペリンが出発する場面でのび太がそれを止めてそこに乗るドラえもんに助けを求めるのかと思ってしまいましたーそうなると、そこから過去の時間軸に狂いが生じてパラレル現象が引き起こされ、全く違う時間軸が生まれる―アニメ史上初の《重複する時間軸》物になる所でしたが、さすがにありませんでしたね…←なったら、作品自体崩壊してしまいタイムパトロール隊が大変な事態に…見てみたい気もしますがw

 でも、今回意外な事を知りました―どうやら、ドラえもん、時間犯罪者を捕えてはタイムパトロール隊から賞金もらっているようですwそうでなければ、あんな高そうなタイムツェッペリンなんかを買おうと思わんでしょうwそれなりにへそくりありそうww