私の人生は我慢の連続でした。


この世に生まれてからずっとなすがまま、自分で自分の道を決めたことさえない人生を歩んで来ました。
父は母は生まれた時からいませんでしたが、施設で裕福な方に引き取っていただいたのでそれなり、いや普通以上に裕福な生活を送っていました。ただ、やることはすべて管理され、毎日の着る服まで決められているという状況で、良く言えば箱入り娘とも呼べるのでしょうがもはや籠の中の鳥でしかありませんでした。

最初は反発したりもいたしましたがそのうちにこれも一つの幸せではないかと考えるようになりました。周りの友人も私と同じような人生を歩んでまいりましたし友人達はそれなりに楽しいと申してもおりました。


だから私もすっかりそういう生き方もありなのだと自分を納得させていたのです。
それにその内に運命の人が現れて私をこの籠の中から救いだしてくれるに違いない、と考えておりました。

その後、もともと洋服が好きだったので近くのデパートに就職し、普通の人がいう平凡の毎日をそれなりに謳歌しておりました。


しかしそんな平穏を壊す出来事が突然やってきました。

私の友人が突然行方不明になったのです。
その子とは施設でしばらく一緒になったことがありました。

皆の懸命な捜索もむなしく友人は見つかりませんでした。
私は言い様のない不安と胸を締め付けられるような思いに苦しめられました。
しかし、そんな時に悲劇は繰り返されたのです。

次は私と同じ職場の友人まで突然行方不明になりました。

私は相次ぐ友人の失踪に完全に意気消沈しまておりました。私の大切な友人が二人もいなくなるなんて。警察の判断では同一犯の犯行で間違いとのことでした。犯人が憎かった私は犯人を探しだし、捕まえてやる事にしました。

私がいつもの場所でたっていると突然何者かに後ろから倒され、私は捕まって連れられてしまいました。

気がつくとそこは狭苦しい男性の部屋でした。

辺りにはいろんな形の服が床に散乱して散らかっておりました。
そしてその時私ははじめて自分が裸だという事に気付きました。しかし、危害を加えられた様子はありませんでした。

状況がある程度整理できてきた所で私はゆっくりと部屋を見渡しました。するとそこには行方不明の友人がいました。気を失っているのか全く動きません。

彼女を起こし、早くこの場から逃げ出さないと。そう思った時、玄関の扉が開いて男の声がしました。

一気に緊張が走りました。

男は私の横にあった椅子に腰掛け、テレビを付けニュース番組を見だしました。

「次のニュースです。先日から続いてる事件について警察が同一犯の犯行と断定しました。しかし、犯人につながる証拠はまだ見つかっておりません。解決の糸口はあるのでしょうか、そして犯人の意図はなんなのでしょうか。」


ニュースキャスターがそういうと男は



「警察はまだ探してんのか。毎回毎回懲りないねー。証拠なんて残すはずないのに。捕まったら俺がせっかく連れてきたかわいこちゃんたちともお別れしないといけなくなるし。」


そういうと男は振り返り、盗んできたマネキン達にキスをした。
関西に帰郷。

あーまさか別れがこんなに辛いとは。
あー辛いなー。
わずか二年しかいなかったけどもはや東京シックになってもとる。
22年住んだ関西がこんなにアウェイに感じるなんて。

こんなんいうててもしゃあない!!
よーし!!
みんな東京で頑張ってるし俺も頑張ろ!

人間というのは日々努力し、成長することで奇跡を起こす生き物である。


それは恋愛においても揺るがない事実だ。


私が今回、二つの決意をすることになったのは日常のささいな出来事がきっかけだった。


私は今関西に帰るまでの間、彼女の家に居候させてもらっている。だから最近は毎日彼女とご飯を食べている。ただ彼女が土曜日休みなのもあっていつも金曜日は外食することが多い。


しかし今日は彼女が大学時代の友達とご飯を食べに行くということだったので家で自炊して一人でご飯を食べるつもりだった。

だが、前日にあった「お願いランキング」という番組でラーメンのランキングがあって、たまたまこの家の近くにランキング1位のラーメン屋があるとわかったので自転車で行ってみることにした。


20分ほど自転車で行ったところにお店はあった。

「真風」と書いて「まじ」と読むすごいポピュラーな店がまえのラーメン屋だった。

ただそこが違うのは鯛塩ラーメンという鯛の出汁のラーメンがあることだった。

もちろんその名物の鯛塩ラーメンの食券を買い、席に着いた。

「鯛塩ラーメンですね!少々お待ちください!」

店員さんが食券を取りに来た時に本気で驚いた。



か、かわいい!!



何を隠そうその店員さんがまじでかわいかった。それはまさに真風で恋する5秒前だった。

なんていうかもう前に告白して振られたあの子にそっくりだったのだ。まるで20歳若返った永作博美だった。

それからというもの明らかに不審なほどにその子をガン見した。そして自分がほぼパジャマ、ほぼ寝ぐせで店に来ていることに気付き、本当に後悔した。

でも結局何もすることができずにラーメンを食べるとそそくさと店を出るしかなかった。

もはやラーメンの味はたいして覚えていなかった。


店を出てから、ため息交じりに自転車を押して吉祥寺の駅をうろうろしていた。

もちろん考えていたのはあの店員さんの事だった。

どうすればいいのか。いや、正直今のこの関係で知り合いになることなんてほぼ0に等しい。


そんなことを考えながらラーメン1杯しか食べていない事に気付き、まだ小腹が空いていたので近くにあった御座候で和菓子を買った。

その時、あり得ない事が起こったのだ。


店員さんがあり得ないくらいかわいい!!


ラーメン屋さんとはまた違った美しさ。ラーメン屋さんを道に咲く力強いたんぽぽなら御座候は花屋さんの中でも異彩を放つハイビスカスだった。

もう今回ばかりは自分の運命を呪った。私はパジャマに寝ぐせなのだ。かといっておしゃれにしていたところで何かがあったわけではだろうけど。

1個だけ買うつもりがちょっと見栄を張って2個買ってしまいそのまま店を出て自転車をとことこ押して帰った。


その帰り道、考えた。

お題はもちろん「店員とお客さんという関係をどうすれば打破できるのか」だ。


話はだいぶ遠回りになってしまったがさんざん考えた結果、たどり着いたのが次の2つの決意である。




決意1:「ポテンシャルを常に最大限に」


これはいたってシンプルでつまりいつもオシャレをして出かけようということである。せっかく出会ったのに相手から「きもい客が来たな」と思われてしまってはもったいない。だから自分のもっているポテンシャルを常に最大限に保つことで確率を少しでも上げるのだ。


決意2:「一目ぼれカードの作成」


この決意が今回のキモであり、現状の課題を解決する突破口である。一日に2人もドストライク、一目ぼれレベルの子に出会うのだから今後も生きている間にそういうことがあるに決まっている。

そういったときに後悔しないための秘密兵器である。

それは一目ぼれカードだ。簡単にいうとメモ用紙に自分の気持ちをしたためて渡すのだ。「なんだありきたりな」思うだろうがやはりその時に大事なのは文章であろう。内容は以下のようにする。



はじめまして、わたくし○○と申します。

今回は突然の無礼をお許しください。しかし今回この様な行動にでてしまったのはあなたに一目ぼれをしてしまったからです。じゃあどうしてこんな紙を持っているの?とお思いでしょうがこれにはわけがあります。それは私の座右の銘が「後悔しないように生きる」だからなのです。つまり、一目ぼれした相手ならいかなる出会い方でも逃してはならないと思い、このようなカードを常に持参していたのであります。まぁまさか本当に使うことになろうとは思っていませんでしたが…。

とにかく一度お食事、いやお茶でもいいので時間をいただけませんか?連絡待ってます。




この様な文章を渡せばいいのである。これを常に財布に忍ばせておくだけでも格段に出会いの機会は増える。

なので私はこの二つの決意をここに約束する。      2010年3月12日