小説『オレ、トマト』15
徳村慎
船の上には、オレ、トマト。カラス、溶けかけの氷の美少女。川に流されて下流へと進んで行く。
トマトが言う。
「なぁ、みんな川に飲み込まれて終わりなんじゃないのぉ?」
カラスが言う。
「オレ、知らないカー」
氷の美少女が言う。
「みんな、さようなら。私ももう溶けちゃうから」
川から声が聞こえる。
「待てぇーい!
早まるな!」
ザバッ。
川から舟に上がってきたのは、ネギだった。
トマトが言う。
「ネギ!
お前ネギじゃん!」
ネギが言う。
「そーだよ。僕はネギだよ。川を流れてやって来たんだ」
トマトが言う。
「ひょっとしてさぁ。ひょっとしてだけど、秋刀魚生きてる?」
ネギが言う。
「もうすぐ舟に上がってくるぜ。強制送還だ」
ザバッ。
カッパが秋刀魚をつかんで舟に上がってくる。
船の上には、トマト、ネギ、秋刀魚、氷の美少女、カラス、カッパ。6人が集まっている。
トマトが嫌そうに言う。
「オレたち運命共同体なんだよ」
川を下ったところに橋があって、魔女が小屋から出て来た。
魔女が言った。
「お前が氷の美少女だね。魔法で永遠に溶けなくしてあげよう」
氷の美少女が言う。
「ありがとう。もう私は溶けないのね」
みんなで叫ぶ。
「やったぁああぁ!
バンザーイ!!」
みんなで魔女の小屋で永遠に楽しく暮らしましたとさ。
(了)
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