小説『オレ、トマト』11 | まことアート・夢日記

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夢日記、メタ認知、俳句モドキ、詩、小説、音楽日記、ドローイング、デジタルペイント、コラージュ、写真など。2012.1.6.にブログをはじめる。統合失調症はもう20年ぐらい通院している。

小説『オレ、トマト』11
徳村慎


オレたちは舟に乗って川を下っている。
そして秋刀魚はカラスにつつかれている。

秋刀魚が言う。
「これで死ぬのは2度目じゃあー」

トマトが言う。
「そうなの?」

秋刀魚が言う。
「だって1度死んでるもの。冷蔵庫に入れられる前に死んでるものぉー」

トマトが言う。
「冷蔵庫村に来る前に死んでいたとは……じゃあ、君は、いわゆるひとつのアンデッドか?
バイオハザードみたいな?」

秋刀魚が言う。
「ゾンビと一緒にするなよなぁ。
生物ってのは死んでからが本当の生なんよー」

トマトが言う。
「マトリックスみたいな?」

秋刀魚が言う。
「この世は仮想現実だってか?
まあ、それにも近いけどなぁ。
でも、本当にそうかも知れんね。
この世で起きることすべて夢の中のような感じやわ」

トマトが言う。
「離人症って言うらしいぜ。
オレの知り合いも時々なるってよ」

秋刀魚が言う。
「そっかー。どんな知り合いなの?」

トマトが言う。
「なんか冷凍庫に入ってて、魚なんだけど、トマトにそそのかされて旅に出たやつ」

秋刀魚が汗ダクで言う。
「わいのことか?
わいしか、おらへんよなぁ?」

トマトが言う。
「まっさかぁー」

氷の美少女が言う。
「ねぇ。私、溶けちゃいそう」



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