小説『オレ、トマト』10
徳村慎
オレたちは舟に乗って川を下っている。
舟にカラスが飛んで来て秋刀魚をつつく。
秋刀魚が言う。
「コラ、つつくんじゃないっ!
コラッ、コラッ!」
トマトが言う。
「うわー。カラスがつついてるよー。前世はよほど悪いことしたんだろーねー」
秋刀魚が言う。
「バッカ野郎!
わいの前世は聖人君子に決まっとるやろ!
釈迦かキリストの生まれ変わりやぞ!」
トマトが言う。
「どこがよ?
お前のどこが聖人君子なんだよ?」
秋刀魚が言う。
「わいのチ○コのデカさが物語っとるやろがー」
トマト無言。
しばし沈黙する舟の上。
トマトが言う。
「カラス、もっと、つついちゃいなさい!
デカいポコチ○も、ついでに!」
カラスが言う。
「腐りかけの秋刀魚は美味いんだカー」
秋刀魚が言う。
「だっ誰が腐りかけか?
活きがいいじゃん?」
トマトが言う。
「だって冷凍室に入ってたんだもんなぁ」
氷の美少女が言う。
「さっき下ネタ言ってませんでした?」
トマトが言う。
「いえ。あれは、違うんです。彼はその部分しか自慢するところが無いんです」
秋刀魚が手をかばいながら言う。
「いっぱいあるわ!
……いててて。そんなにつつかないで」
カラスが言う。
「他に自慢するところは?
骨が見えてるところだカー?」
秋刀魚が手を振り回しながら言う。
「ああっ。わい、骨が見えとる!
もう、つつくなって!」
最後まで
読んでいただきまして、
ありがとうございます。
ヽ(≧▽≦)ノ