小説『オレ、トマト』9
徳村慎
オレたち3人は舟で川を下っている。
秋刀魚が言う。
「なんか……後味悪いなぁ」
トマトが言う。
「……別に」
秋刀魚が言う。
「別にってことはないだろ?
わいらがちょっと怒りすぎたからネギは自殺してしもたんやで」
トマトが涙を流して言う。
「ああ。オレのせいだよ。悪いことをした」
氷の美少女が言う。
「私のせい?」
トマトが言う。
「違う。オレのせいなんだ」
秋刀魚が言う。
「わい、関係あらへんし」
トマトが小さな声で言う。
「……本当にか?……」
次に目を見開き口を大きく開けて大きな声で唾を飛ばしながら叫ぶ。
「本当にかっ!?」
秋刀魚が鼻をほじりながら言う。
「知らないよぉ。たぶん関係ないもの~。ああ、ヤダヤダ。人のせいにしようとするなんて最低だよトマトくん」
氷の美少女が秋刀魚の肩を揺すって言う。
「ねぇ?……私のせい?……私のせいなのっ?」
秋刀魚が笑ってごまかしながら言う。
「まっさかーぁ」
トマトが言う。
「おっおっオレのせいだ……。じゃあ、川に飛び込もう」
秋刀魚が言う。
「止めないぜ」
トマトが言う。
「え……?」
秋刀魚が言う。
「だから、止めないから、どうぞご自由に」
トマトが汗を出しながら笑って言う。
「止めてくれたって良いだろうよぉ~」
秋刀魚が言う。
「いいや。止めないね。川になるのか?」
トマトがうつむいて小さな声で言う。
「……やめとく」
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