小説『オレ、トマト』6
徳村慎
全員が言う。
「あった……」
「都合よく舟があった……」
トマトが言う。
「なんか、ここに来て運が向いて来たような気がする……」
ネギが言う。
「うん……。魔法使いまで、あともう少しだね」
トマトが言う。
「だね」
秋刀魚が言う。
「ちょっと待ったぁ!
魔法使いまで、あとどんだけあるか分かんねーじゃん?
ひょっとしたら、魔法使い死んでるかもしんないじゃん?」
トマトが言う。
「何言ってんだよ、バカぁー!」
秋刀魚が言う。
「だって。そーだろ?
魔法使いが居たとして、居たとしても、
生きてるかどうかなんて誰にも分かんないぜ?」
氷の美少女がしくしく泣きだす。
トマトが言う。
「うぉい!
秋刀魚!
お前がそんなこと言うから、氷の美少女ちゃんが泣いちゃったじゃないかっ!」
ネギが言う。
「泣くなよぉー。僕まで悲しくなるからさぁー」
秋刀魚が言う。
「だいたい、悲しくなるってなんだよ?
お前ら勝手に生きる死ぬって言うけどさー。死んでからの方が本当の生かもしんないじゃん?」
トマトが言う。
「バッカ野郎!
お前に痛みなんて分かんねーんだな?
この病気野郎!」
ネギが言う。
「病気野郎なんて言葉を使うなよなー。病気の人に失礼だ!
とにかく、舟に乗ろうや」
最後まで
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