那智黒石彫刻日記2016.11.11.
徳村慎
そういえば……仕事のことを何も書いていなかった。ずっと書いていなかった。一応カテゴリで那智黒石彫刻日記というものを作ったにも関わらず。(汗)
今は那智黒石磨きを特訓中。
磨きの専門職人みたいな指導者(家族)に習っている。
最初は、磨けているところと磨けていないところの区別がつかなかった。ちょっと白いかな?……ぐらいの感じで。
一応これでも那智黒石体験講師として手磨きを指導したりするのですが、まるっきり別世界というか。僕のやってたことが指導者に比べてフリー・ジャズ的な磨き方だったんだな、と気づく。指導者は正統派クラシックの磨き方で。ええ。音楽に例えるとこんな感じでした。(大汗)
円空仏みたいな仏像を彫り終わり、夏風邪になりポカンと彫刻しなくなって、なんだか生きてて良いのだろうか?……なんて考えたりしてた。このポカンというのがミソで。芥川龍之介だってこういう感じだったんじゃないのか?……と考えるのだ。ポカン。(笑)
その後、招き猫を彫ったり、ヒヨコを彫ったりして量産型(粉末成形)のものもやっていたが、天然回帰の指導者と比べてハジけ具合が足りなかったのは事実なのだ。
で、色々ジタバタしたりして指導者に教えてもらうことになって。こりゃ、今までみたいに、すんなりいかないぞ、と。
今日、自分でも磨けてるところと磨けてないところが分かりはじめた。素人さんが見ると黒の中の黒だ。微妙に角度を変えてようやく分かる磨き。角が出来ないように。粗(あら)くならないように。そんなことが少し分かっただけで仕事は楽しいんだな、と実感した。逆ポカン。こんなことで良かったんだ、と我ながら馬鹿らしい逆ポカンなのだ。
生きる実感とは学ぶことがまだまだあると思うことかも知れない。たかが那智黒石。されど那智黒石。そうだ。いつも頭にあった言葉をいつの間にか忘れていた。「道と名付けられるものは道ではない。」そう『老子』で読んだんだった。
僕のポカンは那智黒石に対して極めたと思い込んだのか、はたまた極められないとイジケたのかは分からない。けれども今日の逆ポカン。これでこそ趣味が生き生きと出来るというものだ。
ここで学ぶべきことをしっかり学べば僕は那智黒石に対してまた面白味が出来てくると思う。
ま、たまにはイジケるかも知れないが、ちょっとずつ上手くなってやろうと思う。(笑)
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