感想
『十五少年漂流記』
ジュール・ヴェルヌ
羽多野完治 訳
(新潮文庫)
この本は中学生ぐらいから読んでボロボロになっている本だが、38歳の誕生日前にまた読み返した。
ジュール・ヴェルヌの小説が好きで、また集めたいと思う今日この頃。
SFの祖とか呼ばれているジュール・ヴェルヌ。H・G・ウェルズと並びSF小説を築いた人だと思う。彼の科学的な視点がサバイバルに向けられたのは当然な話かも知れない。地理的な問題から動植物の利用という、いささか人文科学的な話。さらには少年たちのコミュニティが小社会を築く点では社会科学的な視点でもあるような。諸科学に目を向けるヴェルヌの語りが最高に面白い。
中学生の時から好みが変わっていないのか、ジュール・ヴェルヌがすごいのかは分からないが、たぶん前者だと思う。好みは変わるのではなく広がるのだと思う。僕の心理が少年的な問題を抱えたまま大人になっているからかも知れない。
独立心が少年たちの中に存在する。それに比べて僕は独立した大人とは言えないかも知れない。家事も苦手だし、仕事もかろうじてやっている感じだ。趣味も出来ているかというと、そうでもない気もする。しかし、国というのか。自分の世界を持っているようには思う。でも決して珍しい世界でもないと思う。だから僕は比べることは、あまりしないように心がける。自分という存在を守るためかも知れない。
自分は主人公のブリアンでありたいと願うのだが、案外ドノバンかも知れない。ブリアンに対立するだけの存在。でも彼も銃の腕はあるのだ。モーコーみたいに料理が上手い職人のような存在には憧れる。あるいはジャックのように失敗から自分を厳しく律するようになる人間とか。いや、ゴードンのように思慮深い厳しさにも敬服する。彼ら一人一人が尊敬出来る少年たちなのだ。
あ、大食らいで有名なコスター。僕が一番似ているのは彼かも知れない。(笑)
徳村慎
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