感想
まんがで読破『三国志』
難しい。膨大な量をよく一冊にまとめたな、というのが正直なところ。それだけに分かりにくい。でも、全体像をつかむのには一冊というのが買いやすいとも思う。
三国志の登場人物は目的に生きて夢半ばで死ぬ。それでも目的に進んでいくことが美しいのだろう。
天下の大勢、分かれて久しければ必ず合一し、合一して久しければ必ず分かれるのが常である。
冒頭のこの言葉が全てを物語っている。裏切りの連続には驚く。これが戦略なのかもしれない。ただ、義兄弟が背かないのだけが救いだ。
1が2や3になり、2や3が1になる。これは単一の絶対神から複数になり、陰陽や三位一体や、四大元素地水火風、インドの五行、ダビデの6、キリスト教の聖なる数字7……。しかし、単一神と無神論者も違うだろう。つまり0の存在だ。0は唯物論的な思想ともとれる。
しかし、あえて言うならば色即是空、空即是色は神の否定と神との和解ともとれる。パスカル『パンセ』では「神は人を必要としないが人は神を必要とする」と書いてある。人間はどうやら、心理的な不安のようなもの、空洞を埋めるために神を必要とするらしい。
合一と分裂の話で脱線してしまったが、目的へ進む場合、人間は結果のみを見がちだ。最近、僕は過程にこそ真理があると思える。結果を真理とするのは快楽に近い。過程を真理とするのは快適に近い。仏教の禅の考えでは快適を求めるものだろう。
しかし、快適(過程)を求めているつもりでも、見失って快楽(結果)へと走ってしまうのが大抵の人間の意志の弱さだ。迷って迷って元の道に戻って。そんな連続が人生だとすれば、『三国志』も迷いの中の人生を見せてくれる物語かもしれない。
徳村慎
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