小説『ピカナ、ポカナ、ペカナ』
徳村慎
ロボット少女ピカナを愛する男性T氏。
お風呂だって寝るときだって、いつでもピカナといっしょだった。
本を読み聞かせたり、いっしょにネットサーフィンをしたり。
ピカナの作る料理はプロの味だった。だって料理を作るアプリをダウンロードしていたから。
何年もたったある日、ピカナはダウンロードした英語翻訳アプリでコンピューターウィルスに感染してしまった。
ウィルスに感染すると、T氏の家からどこかへ出かけたきり戻らなかった。
ピカナを求めて街を歩き回ったが見つからない。T氏はあきらめて新しいロボット少女を購入した。
ポカナと名づけた。ピカナよりも性能が上で重いアプリでもサクサク動いた。
しかし、何年もたったある日、ポカナもウィルスにかかって、どこかへ出かけたきり戻らなかった。
次に購入したロボット少女も何年もたったある日、ウィルスにかかって、どこかへ出かけたきり戻らなかった。
何年かのサイクルで次々に購入して20体めのロボット少女はペカナと名づけた。ピカナより何世代もあとのロボット少女なのでものすごく高性能だった。
T氏はある日、疑問に思いたずねてみた。
「ひょっとして壊れるようにプログラミングされていて次のロボット少女を購入させるつもりじゃないだろうな?……それでロボットメーカーがもうかってるとか?」
ペカナは「えへへ」と笑ったがハッキリと「違う」とは答えなかった。
(了)
*あとがき
スマホとか家電って、このロボット少女に似てない?
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