感想 桐野夏生『OUT』
これまではFacebook上で読書の感想を書いて来た。これからはAmebaブログ上で書き記す事にしようと思う。
弁当を作る工場に勤務する女性たちが主人公の小説だ。仲間の1人が夫を殺してしまい、其の死体をバラバラにして生ゴミとして出す。そして死体処理の仕事が舞い込む。殺人の濡れ衣を着せられた賭博経営の男が女性たちに復讐していく。
此の悪の面白さに打たれる。僕の中にも獣性が有るのか。獣性とは悪の快楽なのか。そんな気持ちだ。此の気持ちにシンクロして快楽を感じるのは、過去の知人等に似た心を読み取るからか。何故、殺人が、或いは死体の処理が快楽なのか。僕の中の快楽の定義が崩壊するかの様な小説である。
実は、此の本は以前、図書館で借りて読んでいる。中古で買って迄読み直す価値の有る本だと僕は考えたのだ。一体何故だろうか?……文体のリアリティを感じたいからか?……今回読んでみてリアリティだけじゃない気がした。揺れ動く(或いは揺るがない)心理が人間的だからだと感じる。其処が名作なのだ、と。
此の本は更に何時か読み返すだろう。自分や誰かの闇を探る心理学の本として、或いは悪の快楽を味わうエンターテイメントとして。
徳村慎
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