詩『ワイン』 | まことアート・夢日記

まことアート・夢日記

まことアート・夢日記、こと徳村慎/とくまこのブログ日記。
夢日記、メタ認知、俳句モドキ、詩、小説、音楽日記、ドローイング、デジタルペイント、コラージュ、写真など。2012.1.6.にブログをはじめる。統合失調症はもう20年ぐらい通院している。

詩『ワイン』
徳村慎


夢の時が流れて死んでいた
電脳空間が背中から
頭の中へと這い登る
僕は魂が身体に戻った
少女の姉妹が服を着始め
僕は部屋の奥の金庫を開ける
鍵を探すが見つからない
窓を突き破り外に出る
高層ビルから落ちて行く
少女たちも一緒に落ちて行く
僕の右手と左手に
少女たちの手を握り締め
オープンカーに舞い降りる
旧式のアンドロイドがハンドルを
握ってアクセル踏み込んだ
トンネルの中に入って行く
都市から砂漠へ進んで行く
何十年ぶりの雨が降る
びしょ濡れになり楽しいね
座席に鍵が見つかった
今頃なんて皮肉だな
少女たちが奏でる縦笛
姉がアルトで妹がソプラノ
2つの旋律に身を震わせて
僕は甘いキャンディを舐める
雨は上がって埃の無い空
冷える空気に閉じた目で
脳裏に浮かぶ鎖の色
アンドロイドがガソリンを
入れている間に食料を
買おうと1人で店に入る
赤い革の服を着た女が喋る
やっと来てくれたのね、お馬鹿さん
銃を渡され店の地下へ
赤い革の女と入って行く
檻の中にはゾンビが蠢く
貴方の薬とウィルスで
こいつらが兵士となるんだから
西海岸に国を作りましょう
語り終えれば衝撃で
2人は倒れて驚いた
地上は爆撃されたらしい
泣き声なんか上げないで
澄ましたアンドロイドと姉妹
地下までやって来て笑う
僕は青色のボタンを押した
地上のゲートが開くはずだ
ゾンビの群れが外に出て
大暴れして戦うだろう
どうせヘリから降りて来る
陸軍なんて目じゃないぜ
皆んなでホットドッグを食べた
料理を作った豚人間は
遺伝子操作の傑作だ
僕に抱きついて喜ぶから
頭を撫でて褒めてやる
大きな尻でダンスして
大喜びで高く歌う
黄色のボタンを押してみた
衛星通信で世界中の
都市に巨大な人工地震
ささやかながらプレゼント
せいぜい楽しんでくれればいい
これが俺なりの報復さ
涙が笑い過ぎて出た
チョコレートを齧って眉を上げ
赤い革の女が舌打ちした
この鳥本当に煩いわね
人間の脳を移植された
緑の大きな鳥が喋る
勝っちゃいねーよ気をつけな!
奴らが来るから気をつけな!
ゴキブリのような小さな虫が
壁から無数に現れた
ナノマシンだぜ、逃げようぜ!
虫は更に小さな粉に
分解されて動きを速め
少女の1人は足から赤い血
流して恐怖に叫び出す
骨にされるまで見ていられない
僕が逃げると扉が開く
羽の生えた虫が飛んで来て
小さな銃で撃ちまくる
天井の水道管に穴
水浸しの部屋を突き進む
地上への出口の梯子を登り
出られると思った瞬間に
僕の後頭部は撃たれてしまう
魂のまま身体を見下ろす
こんなにも脆く儚い人生
暗闇に目を凝らして見ると
悪魔がワインを勧めてくれた











iPhoneから送信