詩『君は森、僕は樹。』
徳村慎
倒れた樹は森に生きる
倒れない樹が街で死ぬ
倒れよと歌う夢の中
街から出よう森へと向かおう
街なんて嫌だ電車に乗って
街が遠くになる頃に
耳の奥から波が聴こえる
耳から描く風景は
耳の形の赤い森
森は揺らいで赤く燃え
森の精は深い瞳で見つめ
森で僕らは恋に堕ちた
電車の中で目覚めたら
電車は走り続けてた
電車で行き着く処には
白い雪が降っていて
白くて黒い耳の熊が居て
白さに満ちた心が光る
熱いコーヒーを飲もうよ
熱い議論を戦わせて
熱い涙も出るだろう
冬の間に手紙を書こう
冬は長いし暇なら有るさ
冬に思い出す君が良い
届かない手紙を書くのなら
届かないのが君だけで
届く自分を信じよう
倒れた樹は森に生きる
倒れない樹が街で死ぬ
倒れよと歌うと夜が明けた
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