『脱獄の果て、森の奥』28 | まことアート・夢日記

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まことアート・夢日記、こと徳村慎/とくまこのブログ日記。
夢日記、メタ認知、俳句モドキ、詩、小説、音楽日記、ドローイング、デジタルペイント、コラージュ、写真など。2012.1.6.にブログをはじめる。統合失調症はもう20年ぐらい通院している。

「ボム……」
オレが歩み寄ると、怒りなのか悲しみなのか顔が蒼ざめたボムが、ようやく目を合わせる。ぼんやりと夢の中に居たような目には涙が滲んでいる。
「お前……イチタだよな? 」
ボムもオレのことを生きていないと思っていたのか。それとも電気信号を利用した洗脳によって忘れていたのか。
「ああ。お前も生きてたか」
声は震えて、ボムには聞こえなかっただろうか。生きて。そう。オレたちは生きている。鼻がツンとして視界が涙で曇る。こらえようとしても顔がグシャグシャに歪んでしまう。話そうとするのに言葉が言葉にならなくて、ただの嗚咽となっていく。そんな中でボムが語る。
「実はな。軍隊に脳ミソ書き換えられちまってたんだよ。犯罪者を軍事利用する実験さ。リカバリで再起動ってトコかな」
でも、ボムはオレを思い出してくれた。友情は科学なんか超えちまうんだ。そうだろ? ボム。

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