彼は砂時計の砂を数える旅に出た
彼は砂時計の中に住んでいて
広大な砂漠だと思い込んでいた
砂は天文学的数字だが
彼は立派な数学者だった
しかし、あと10粒ほどで
数え終えるはずなのに
彼は途中で諦めた
周りの人々は冷たくなった
彼を待っていた女だけが
温かいスープを飲ませてあげた
スープは苦労を忘れさせ
砂を数える価値さえ無くした
だが老賢人は、こう言った
お前は夢を諦めたのか
しかし愛ゆえに失った
砂の数など何になろう
彼は思ったものだった
それでも彼は愛に生きて
砂の数など、すっかり忘れた
ひ孫が砂の数を数えたいと
言った時に思い出した
もう一度砂を数えたい
ひ孫と共に旅に出た
砂を数えるごとに熱く
若さを取り戻していく
ひ孫が額に汗して笑い
数え終わって夕陽を見た
ひ孫の頭に手を置いて
彼は涙を流していた
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