『脱獄の果て、森の奥』19 | まことアート・夢日記

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まことアート・夢日記、こと徳村慎/とくまこのブログ日記。
夢日記、メタ認知、俳句モドキ、詩、小説、音楽日記、ドローイング、デジタルペイント、コラージュ、写真など。2012.1.6.にブログをはじめる。統合失調症はもう20年ぐらい通院している。

「…オ前ノ手、スマナカッタナ」
獣人の娘ヌーパの言葉に我に返る。そうだ。ここは獣人の解放区だったんだ。これからさらに奥山へと進んで、そこで暮らすしか無いか。
「コレ使エナイカ?」
子供の頃に読んだ『宝島』みたいな鉤の義手をヌーパは差し出す。
「コレハ、僕ノ父ガ使ッテイタ。モウ死ンダケドナ」
形見として持っていた宝物なのだろう。
「大事なものなんだろ?」
「オ前ハ知恵袋ノ長老ヲ助ケタ。長老ノ知恵デ、コノ森ハ良クナッタ。色ンナ知恵デ生活出来テイル。焼キ物ノ器ノ作リ方ヤ、森ノ生態系ノ維持。天気ノ占イモ当タリ続ケテイル。長老ガ居レバ森ハ幸セダ」

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