きりもみ状態でオレたちは落下していく。オレはジェットバイクの横腹にある脱出レバーを引く。バシュッ。
空中高く放り出されてパラシュートが開く。ボムのパラシュートも開いたようだ。朝の光が霧の晴れ間からオレたちを照らす。
クマノディアの都市、新宮を右手に見下ろしながら熊野の森へと流されていく。もう少しだ。もう少しで逃げ切れる。あの辺りは獣人たちの解放区だ。無法者の住む国なんだ。
ボムのパラシュートが、ゆっくりとオレとは違う方向に進み出した。都市風だ。朝の陽の光に暖められて上昇気流が起こり、微妙に風が変わったらしい。
「ボムーッ!」
叫んだが聞こえた気配は無い。
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