「オババ。じゃあ、あの子は戻らんのか?」
「ネコロビ。お前の力じゃ、どうしょうもないわ。わしがどれだけ力をこめても戻らんかったでの」
「のう。ネコロビは力を自慢するけんどオババの力には敵わんからな」
「オババ。あの子をオレが連れ戻すよ」
「あほぬかせ。じゃあ、ウケレの森へ入るんか?そんな事したら、森の神さまが怒るどォ」
「やってみやんと分からんが」
「やめとけや。ウケレの森じゃオババでも力が弱まるっちゅうに。無鉄砲じゃのう」
「のし。無鉄砲じゃわい」
「もう、はよォ寝ェ」
電灯が消えた。夜は深い黒い色。アイボリーブラック一色になった。