ごひゅん。ターボが過給して、速度が上がる。
続々と仲間の車が合流する、午前1:00の空気の中。
俺のは、スポーツサスとブレーキ強化してある。シートはレカロだ。ボディ補強をやり直したのは、中古車だからで、ドリフトをしようと思えば当然だ。言っとくが、ワゴンRで、Fドリは、軽自動車に乗る連中とちょっと技術が違うぜ?スポーツカーの皆は、軽自動車など見向きもしないが、俺だけは仲間に入れてくれた。
繁華街の中心の交差点で、ドリフトを決めた。
パトカーが来たが、バイクの部隊に銃で発砲され、フロントガラスをハンマーで叩き割られた。
今日も、捨てに行くのか。それとも監禁か?女だろうが男だろうが、容赦なく声帯を切除して奴隷化されて肉体労働か、性欲の人形にされちまう。
いや、やはりチェーンソーでぶった切って土建業者に委託して市営住宅のコンクリに詰められるのか?まあ、そんなトコだろうな。
警察なんて部隊の敵じゃない。公的な機関の情報は、賄賂や、ゆすり、ハッカーや、犬(と呼ばれる忠実な命令を聞く手下)によって、漏れている。無法地帯。熊野。
市街地の光が、次から次に流れていく。たどり着いたのは、公園の駐車場で、車が並んで、ウーファーからローブーストの低音を鳴らした。
コーラにMDMAを放り込む。はじける泡。生きている。直接、血液となるかのような錯覚。俺はドリフトの興奮も覚めぬまま、じわりと効く、コーラを味わう。