空き教室で翔と陸の居る所に泉も居た。美智と桜が入ってきたのを見て翔が寄ってくる。
「泉先輩に、桜先輩とのバンドを解散して僕らのバンドに入るって急に言われて困ってたんですよー」と翔がため息と共に言葉を吐き出す。
美智が泉の所まで行って話し掛ける。「泉ィ。途中で投げ出してええん?桜ちゃんはテクノ・アッシャーを良くしようと思って厳しい練習をさせやったんやで」
桜が弁解して、決意を話す。「泉ちゃん。確かに泉ちゃんの許可も、もらわんと奈々のノート使いやったのは腹立ったやろね。ゴメン。それは、あやまる。でも私にはアサミー・メイデンに戻る事なんか出来んわ。もうテクノ・アッシャーしかないもん。だから私はテクノ・アッシャーだけは解散させれんのよ。理想の音楽を作ろうよ、ね。2人でさ。これがテクノ・アッシャーだって見せつけようよ」
美智が言う。「泉。この頃2人で曲を演奏しやるの楽しいって言いやったやんか。はよ、図書室、戻ったりなーよ」
「それより…」と翔が口を挟む。「それより、みんなで音楽室に集まりませんか?文化祭に向けて軽音楽同好会で打ち合わせしましょう」
美智は美術室に戻り、男子2人と桜と泉は音楽室に向かった。
音楽室に入ると、アサミー・メイデンの3人だけでなく、杏のジャズトリオの3人も来ていた。
アサミが桜に、ひさしぶりの笑顔で声を掛ける。「桜ァ。奈々に聞いたで。色々悩んどったんやって?軽音楽同好会としてやっていこうね。バンドバトルは、なしなし」
大西先生が話し出す。「この軽音楽同好会は4つのバンドで成り立っとるわけやね。これからも、たびたびは、こうやって顔を合わせるのも悪ないやろ。テクニックを他のバンドから盗むも、よし。教わるもよし。独学独習でやるのもよし。さしあたって、これからは6月と7月の予定と夏休みをどういう活動をするか、と秋の文化祭の曲構成を考えなアカンな」