翌日、桜は昼休みに、アサミー・メイデンのドラム担当の奈々を、体育館裏に呼び出す。
「ねぇ、私と、また一緒にやりたいって本当なん?」と桜。
奈々が答える。「え?ああ、翔が言ったん?おしゃべりやねー。うん。桜ちゃんのリードギターが無いと、アサミー・メイデンの音も何(なん)かフワフワしとるし。アサミは、あれでも悩んどったんよー。リードをカズーでやるって決めて、今ではボーカルとリズムギターとリードギターのパートのカズーを1人3役こなしやるからね」
「じゃあ、私が戻る意味ないやん」
「あるよ。アサミの技術が高くなった今やから桜ちゃんが必要なんやんか」
「うん。私も、ちょっと奈々のドラムとは、また合わせてみたいけどさ」
「それやったら戻ってきなーよ。ねぇ。アサミには私から言っとくから」
「でも、泉ちゃんのカオシレーターも好きなんやよね」
「桜ちゃんは、テクノよりメタルの方が向いとるよ」
「やっぱ、そうかな?…いやー。でも私がアサミー・メイデンにに戻ったとして、泉ちゃんは、どうなるん?」
「そりゃ、元々、テクノを1人で作りやったんやから、また1人に戻るしかないやん」
「そんなん可哀想やん。私のせいで1人になるやなんてさー」
「うん…。でも…」
「うん…。じゃ、またね」
「うん。考えといてーね。バンドに戻る事」