丹沢回帰【いざ稜線へ】 | 鳥の思い出

鳥の思い出

鳥と自然を楽しむブログです。神奈川県を中心に活動しています。

【まえふり〜丹沢への思い】

 

2013年にブログを始めた当初は『丹沢鳥獣研究所』というブログタイトルをつけていた。もちろん架空の施設名。当時から地元神奈川県最大の山地である丹沢で鳥を探すぞという意気込みはあり、なかでも夏鳥探しにはかなり通った。

 

とはいえ低山帯の林道での探鳥がほとんどで、コマドリが夏を過ごしそうな1500m級の稜線には数えるほどしか行っていない。記録は6年も前のことになってしまった。

いちばん有力と思われたコースでもコマドリの声を聞くことはなく、彼らが好む笹の植生が荒廃してゆく現実から目をそむけるようになった。また、丹沢は最高峰でも1700mに満たないものの、登山口の標高が低いため標高差1000mを自分の足で登る必要がある。

 

植生もアプローチもよい隣県のポイントに通うようになったのは必然の流れだった・・・それでも、丹沢へのこだわりは脳裏でくすぶり続けていた。

 

【いざ稜線へ】

 

2023年6月17日。

コース詳細の記載は控えるが、丹沢1500mの稜線を目指す。ターゲットはコマドリのほかにはマミジロ、メボソムシクイ。夏鳥以外では今年まだ見ていないゴジュウカラ、オオアカゲラ。

 

5:30、標高約500m付近から探鳥登山開始。クロツグミ、オオルリ、キビタキ、センダイムシクイ、ミソサザイのさえずりはまだまだ盛んであった。沢沿いの林道からはアオバト、カケスをしばしば見たほか、いちどクマタカが谷を渡るのを確認できた。

 

植林帯の登山道に入ると、林床をフタリシズカが独占していた。シカが好まないらしい。このあたりから、予想はしていたがエゾハルゼミがやかましかった。暗いうちから歩くべきだったかな・・・

 

8:00、マイペースながら汗だくで登り続け、標高1200m。ときおりアサギマダラが優雅に飛んでいた。植生がブナ林に変わり、コルリのさえずりが聞こえてひと安心。競合者と思しきソウシチョウも多かった。ジュウイチ、ツツドリ、ホトトギスの托卵トリオの声も。ブナの幹や倒木にはゴジュウカラの親子が連れ立っていたが、とりあえず先へ進む。

 


9:45、目指していた約1500mの主稜線に着いた。登山道から見下ろす斜面は、丈こそ短いものの笹で覆われている。これを確認しただけでも登ってきた甲斐があった。耳を澄ますとコルリのほかに、ルリビタキ、エゾムシクイの声。イカルと、キツツキ類の声もよく響いた。アオゲラより甲高く聞こえたのでオオアカゲラもありうるが、さすがに姿を見ていないので保留とする。

 

登山道のすぐ近くで聞こえた可愛い声の主は巣立って日の浅そうなヒガラ幼鳥。親きょうだいもすぐそばで餌を探していた。

 

1500m級の稜線はところどころ疎林や笹原になっていて展望が開けている。谷を旋回するクマタカを見下ろすことができた。もう一度飛ばないかと思ってしばらく待ったがこれっきり。

 

見たかったヤマオダマキが点在していた。開けたガレ場や裸地の近くにはホオジロ、モズの姿もあり、ヒバリも飛んでいた。

 

そして11時ごろ、期待の声は遠い谷から聞こえてきた。コルリには出せない本物のコマドリの声だったと思う。時間帯がよくなかったか再現はなく、録音できなかったのは弱い。もっと早い時期や早い時間なら活発に鳴くかもしれないので、また登ってくるとしよう。

 

水場ではホオジロが水浴びしていた。先客優先。ホオジロが去ってから私自身の水を汲んだ。目標にしていた地点まであと少しだったが、下山の時間を予測しここで引き返すことにした。

 

帰り道の途中、ツツドリが姿丸出しで鳴いていた。稜線ではこれが普通なのだろうか。この時期の低山帯では声は聞こえても姿を見る機会はなかなかないうえ、すぐに飛んでしまう。

 

ゴジュウカラ。幼鳥だと思われる。家族いっしょだった。冬は山麓や丘陵でも見られるというが私には経験がなく、神奈川県内で見るのはやはり2017年以来だと思う。近くにはコガラ、ヤマガラ、エナガも混群をなしていた。

 

長い下りに飽きてきたころ、聞き慣れない声に首をかしげた。すぐ近くなのに姿を発見することはできなかった。

 

 

が、声色や生息可能性から考えてアカハラのバリエーションだろうと推定している。このあとは大したイベントなく、17:00予定をだいぶんオーバーして下山した。

 

***

 

稜線の環境はさほど捨てたものではなく、予想より鳥も多かった。大部分は声での記録だが、そんな探鳥ができるのも夏山ならではだと思う。コマドリの声でやる気ゲージは再び満たされた。とりあえずまた登ることは確定、時期は未定である(笑)

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。