鷹の領域8 ハイタカ個体識別〜丘陵編 | 鳥の思い出

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3月20日川崎市内、

行きつけのフィールドで朝8時ごろ。

 

歩いてきた尾根道を何気なく振り返ると、

幸運にもハイタカが止まっていた。

体をふくらませて毛繕いをしていて、

おそらくお休みモード。

谷戸に下りれば正面も拝めそうだ。

 

やはりすぐには飛ばなかったどころか、30分近く眺めることができた。

枝が邪魔なのはいつものこと。

年一度あるかないかの

至福のときだった♪( ´▽`)


この個体は成鳥?幼鳥?雄?雌?

ヲタクはどれだと思いますか!?

というわけで約束のハイタカ個体識別、

多摩川編に続いて地元多摩丘陵編である。

 

ここでは現時点で3個体を識別している。

日時は別々だが、ほぼ同じ谷戸で撮影したものだ。単独での飛翔下面を並べたものでサイズの比較はできない。また、向きを揃えるため画像を回転させている。

 

性齢推定の基本は胸の斑模様だが、

どれも明らかな乱れは指摘できない。

そこで『フィールドガイド日本の猛禽類vol.03ハイタカ』を参考に、別の識別点である風切羽の最先端の鷹斑(丸囲いで拡大)に注目した。

A、Bはほぼ一様に暗色で成鳥の特徴。

Cだけ違って、隣接する淡色部との境界に濃色の横帯がある。こちらは幼鳥の特徴とされている。ただし例外もあるようだ。


B個体には左の次列風切に乱れがあり、

天然の標識となりうる(矢印)

AとBの違いが伝わりにくいので、

別の写真を示しておく。

 

不鮮明で心苦しいが、顔が違うと言いたい。

Aは眉斑が不明瞭で、眼の後ろはべったり暗色。

Bは眉斑がまあまあ明瞭で、眼の後ろはすこし抜けている。

 

A個体のみ昨年11月の記事ですでに紹介していて、雌成鳥だと推定した。

A個体は最も観察回数が多く、夕刻に尾根の雑木林に下りるので、おそらくねぐら入りを見ているのだと思う。細眉だが胸腹に赤い要素はなく、雌成鳥説は曲げない。


いきなりくだけるが、私はこの個体が最高にカッコいいと思っている。

もはやゾッコンである(*´꒳`*)


C個体は昨年末初認しA個体との違いに気づいた。横顔が特徴的で、眼の後ろの暗色部に白い切れ込みがある。この写真だと胸の模様が縦斑っぽく見えなくもない。サイズは小さく見えたのだが、比較対象となる物差しがないのでなんとも言えない。幼鳥までは言えるが性別は保留とする。


3月13日夕刻、

尾根の松の木に一羽止まった。

眼の後ろに白い切れ込みを確認できる。


風切羽の先端はまさしくC個体。

識別が実った瞬間だった(^^)

このように飛び立ちを撮れれば止まり姿と飛び姿を関連づけることができる。


さてさて冒頭の枝止まりはどれに相当するか。

3個体の中ではBで決まりだと思う。

実はB個体は3月12日に確定したばかりで、あまりいい飛翔写真がない。渡去間近ではあるがいまひとたびのチャンスを願う。

 

ところで冒頭の個体は…

2020年11月の記事で紹介した個体にきわめて似ている。同一個体である可能性はかなり高いと思う。

当時の記事で私は太い眉斑を根拠に「若めの雌成鳥」と推定した。今よく見ると胸腹の横斑自体が明るい赤で、雄ということもじゅうぶんあり得る。



脇腹の赤みの強さからすると、ますます雄に見えてきた。太眉の雄成鳥と推測する*。今後はどうにかサイズの評価ができないか研究したいと思っている。


またまた難解な記事となってしまいました。テキトーに読み飛ばしてください(笑)よりわかりやすくするため、今後も追記したり書き換えたりするかもしれません。


【*3月27日追記】

B個体がトビをモビングしている画像があったので、単純に計測してサイズを推測してみた。


『新訂ワシタカ類飛翔ハンドブック』

のデータによれば、

ハイタカの翼開張は61〜79cm、

トビの翼開張は157〜162cm。


後者に写真のb/aをかけると、

ハイタカB個体の翼開張は

73〜75.5cmと算出された。

大きめサイドで、

積極的に雄とは言いにくい。


太眉とサイズは

赤みの強い雌成鳥

という説を支持する。

観察を継続したいが、

もう旅立ったかもしれないT_T