2024年読書15冊目「雪の花」吉村 昭 | 穏やかに生き急げッ!

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映画・小説ネタはすべてネタバレですので見てない方は気をつけてくださいね。

2024年読書15冊目は吉村昭著

「雪の花」

 

【超ざっくりストーリーは】

今から約190年前、福井県の町医者:笠原良策が天然痘治療に奔走した物語です。

当時、天然痘が大流行し全国で多数の死者を出し火葬するために棺桶を乗せた大八車が列をなしていました。

当時の日本の漢方医学では治療方法が無く、天然痘の流行を止めることが出来ません。

笠原良策がオランダでは天然痘にかかった牛のカサ蓋を人間に接種する方法を知ります。

その方法を広め、天然痘の治療を行うのには障壁だらけでした。

 

【感想は】

先日読んだ「破船」に疱瘡だらけので赤い服を着せられた死者を乗せた船が出てきます。

「破船」にはその疱瘡の原因となる病気は書かれていませんでしたが「天然痘」のようです。

 

じゃあ、天然痘のことをちょっと読んでみるか!!

と言うことで、「破船」の作者でもある吉村昭氏の作品の本作を読みます。

 

天然痘となんぞや?

日本国内での最後に発症した患者は1955年(国外で感染したひとは1975年)、世界では1977年です。

紀元前1350年に古代エジプトあたりで、日本には仏教伝来とともに6世紀末くらいに大陸から天然痘も来たようです。

人類が唯一撲滅に成功した感染症です。

天然痘にかかった人の疱瘡の落ちたかさぶたでも1年程度は感染力があるようです。

 

 

この頃の日本は、絶賛!鎖国中!で、長崎にしか外国と交流するところもなく、治療の元となる牛痘も許可なく輸入できませんした。

その許可を取るために役所に何度も申請しますがなしのつぶてです。

牛痘を接種し疱瘡ができて3日目に、伝言ゲームのように子供に接種していかないと治療の輪が広がりません。

しかし、役所(藩)が消極的なため子供も集まりません。

確かに、牛由来の膿を我が子に注射するなんて、当時の私も反対するでしょう。

 

この治療方法を発案した外国の医者も我が子ではなく使用人の子供に接種したぐらいです。この人でなしッ!

 

治療方法があるのに手をこまねいて死者の列を見なければいけなかったのは

役所(藩)の認可や協力が遅れたためです。

 

今も昔も足枷となるのは役所の許認可のスピードです。

でも、役所も難しいでしょう。分かります。世の中には”稟議””建付け”が必要です。

薬害エイズ問題などもあるので、なんでも認可すればいい、早ければいい。って事ではないです。

 

 

 

2025年1月24日に『雪の花 ーともに在りてー』と言うサブタイトルが付いて公開予定のようです。

笠原良策…松坂桃李

日野鼎哉(ひのていさい)…役所広司

笠原千穂…芳根京子

 

松坂桃李と役所広司は5度目の共演のようですが『孤狼の血』しか観ていません。

松坂桃李の冷めてんだか熱いんだかよくわからんちんな激高の演技が、笠原良策の苦悩をよく表しそうな感じがします。

 

楽しみに待ちましょう!!