私の勤務先はお堅い職場だ。
なので、秘密の地下組織ジャニヲタ友の会(仮)以外の同僚が、どんな趣味趣向の持ち主なのかは、本人が公言しないかぎり、うかがい知ることはできない。
昨日のお昼休みのこと。
休憩時間もそろそろ終わりで、みんな自分のコーヒーカップ片手にぼちぼちお仕舞いの準備をしていた時。
誰かが、「京都の放火事件、痛ましいよね」と言った。
あー、ほんとにね。
なんか、怒りのもって行き場がないよね。
有名な会社なんでしょ?アニメーションの。
若い方も亡くなったんでしょ。
手を合わせて、祈ることしかできないよね。
と、その時、突如、横に座っていた同僚が、ものすごい勢いでしゃべり始めた。
多くの会社が東京に集中する中で、地方発の良質な作品を作っていたこと。
聖地巡礼のはじまりとなる作品を発表していること。
就職を希望する人がとても多いこと。
でもなかなか就職はできないこと。
今回の火災で、多くの製作途中の作品が失われたこと。
人気作品の監督が連絡を取れなくなっていること(涙声になる)。
けいおん、らき☆すた、ハルヒ…。
ひと通り語ると、彼は、はっ、と気付いたように、「…らしいですね」と小声で付け加えた。
いやいや、遅いって。
もう、すっかり了解したって。
好きなのね、アニメ。
気持ちがダダ漏れやん。
物静かで、普段そんなに数多くを語ることのない同僚。
哲学の専門書がメガネをかけて歩いているみたいなイメージだったのよ。
ふーん、そうなんだ。
でも、ちょっと意外だなぁ。
人を見た目で判断しちゃいけませんね、はい。
自分の大好きなものが、理不尽な形で奪われてしまうのは苦しいよね。
話したいよね。
きっと、いっぱい話したいことがあって、話せなかったんだろうなぁ。
時々、声を詰まらせながら、ひたすら話し続ける彼を見て、ちょっと前の自分を重ね合わせてしまった。
私もね、自分のかけがえのない大事なものが解散しそうになったり、立ち止まってしまったり、邪険に扱われたりしてね。
苦しくて辛い時期があったんだよ。
話したくても話せなくてね。
あんときゃ辛かったぁー。
まわりにNEWS担がいなくてねぇ。
キミの周りにアニメ好きはいないのかい?
京アニ愛を思いのたけ語れる仲間がいると良いのだけど。
例えば、地下組織の面々が集った場なら、思いっきりジャニ愛を叫ぶのだけど、職場ではスンっとすましている私。
私が口からツバを飛ばしながら、職場でNEWS愛を語ったら、みんなどんな反応を見せるんだろう。
小山さんが増田さんのドラマ撮影の現場に差し入れしたお団子屋さんが何処にあるのか知りたいんですよねぇ、とか。
いやいや、ムリムリ。
その後のことを考えると、カミングアウトはまだまだ先の話。
ってか、一生ないかも。
いや、意外と、あー、そうなの、って、そんな感じでサラリと終わるのかなぁ。
構えているのは私だけか?
んー、読めないわ、うちの組織。
野球と同じくらい、アニメのことは全くトンチンカンの私だけど、ふと思い出した。
そーいえば、慶ちゃんがアニメ!アニメ!と言ってたじゃない!!
(そもそも全く興味がなかったので、慶ちゃんのアニメ話をスルーしていた私 ゴメンよ 笑)
良い機会だわ。
よし、イチから教えてもらおう。
哲学クン、私にアニメの何たるかを伝授しておくれ。
これで、慶ちゃんのアニメ話に付いて行くことができる!!
慶一郎、今に追いつくからね。
待ってろよぉ。