年約2%の資金運用で相続税対策も | FP吉田のマネーセミナー

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お金を増やす上で大切な7つの知識等をご説明しています。

1 資産運用をしながら行う相続税対策の現状


 資産運用をしつつ相続税対策にもなる方法としては、借入金によりアパートの建設や不動産を購入して賃貸したりすることが多く行われています。
 

2 借入金で不動産購入の問題点

(1) 相続税評価の問題

 借入金でマンション等を購入する場合も保有している金融資産でマンション等を購入する場合も、次の例のとおり、相続税評価額は同じ結果になります。
(例1)保有金融資産1億円で相続税評価額3千万円のマンションを購入した場合。相続税評価額は、マンションの3千万円。
(例2)保有金融資産1億円は使わず、借入金1億円で相続税評価額3千万円のマンションを購入した場合。(単純化のため全額借入金で購入。)
       相続税評価額は、資産(金融資産1億円+マンション3千万円)-負債(借入金1億円)=3千万円。

 つまり、金融資産をある程度保有されている方が、借入金でマンション等を購入することは、相続税対策の面で見ると良い選択と言えるか疑問があります。

(2) 諸費用の問題

 借入金によりマンション等を購入する場合、
 ① 金融機関に支払う融資事務手数料(例1:数万円、例2融資額の数%)
 ② 保証会社に支払う保証料(例:1千万円当たり数十万円)
 ③ 抵当権の設定登記費用(例:債権額(融資額)×0.4%、司法書士への登記手数料)
 ④ 金銭消費貸借契約書に貼る印紙代(例:5千万円超1億円以下は6万円)
 が掛かり、これら諸費用の合計金額は、金融機関にもよりますが、数百万円になると考えられます。
 

(3) 相続税申告否認の問題

 借入金によりマンションを購入する相続税の節税方法は、税務署から否認された事例が複数報道されております。
 また、令和4年4月19日、最高裁判所は、借入金と自己資金により不動産を購入後相続が発生し、一般的に認められている評価方法により評価して行った相続税申告について税務署が否認したことについて、税務署の処分を認める判決を行っております。

 

3 年2%の所得。不動産信託受益権とは?

(1) 不動産信託受益権

 金融資産の有効活用と併せて相続税対策にもなる方法としては、不動産信託受益権の購入という方法が有効と考えられますので以下ご説明いたします。
 この不動産信託受益権の購入について簡単にご説明いたしますと、信託銀行に信託された一棟又は複数区画の優良な賃貸マンション等から発生する賃料等の利益を受け取ることができる権利を購入するものです。
 この不動産信託受益権は、一般の人や会社が購入し易いように1千万円程度から販売されており、このように小口化された受益権は不動産小口信託受益権と呼ばれることもあります。

(2) 不動産信託受益権のメリット

 不動産信託受益権のメリットとしては、次のものがあります。

 

 ① 賃借人の募集等の不動産管理業務は専門業者が行い、年率約2%の不動産所得が得られる。
 ② 1区画を購入して賃貸する場合と比較すると複数の区画を共有するのと同様なことから空室リスクが少ない。
 ③ 購入時の費用が安い。(例:印紙代200円、確定日付取得費700円の合計900円)
 ④ 不動産の相続税の評価は金融資産の評価よりも相当低いので相続税の軽減を図ることができる。(相続税評価ベースで8割から9割減少。)
 ⑤ 信託の期間が10年程度と比較的長期間であり、次のデメリットでも述べますが、借入もしないことから税務署からの否認リスクが少ない。
 ⑥ 都心の優良な賃貸建物の複数の区画を複数の相続人に均質、均等に分けることができる。

 

 不動産信託受益権には以上のようなメリットがあります。

 

 不動産信託受益権について気になる人は、デメリットや購入方法が記載されていますので、

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