[2013-04-06 みどるな書店経営]

お久ぶりです。最近は、時間がなくて、すっかりブログの更新ができていません。

日立のオープンミドルウェアレポート、という冊子の最新号に、みどるな書店経営」という記事が載っています。(この記事は、まったく宣伝要素は含まれていませんので、ご安心を。)
http://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/soft1/omr/vol62/job/index.html

この記事の内容が、実に中小企業の生き残る方向性を示唆しているように感じましたので、書いておきます。

大手チェーンの本屋さんの方が品揃えが多いので、そちらに行きがちですよね。また、最近は、Amazonや楽天ブックスのような、巨大なオンライン書店で注文してしまう、という方も多いと思います。私もその一人です。

しかし、本屋さんに立ち寄らなくなったか、といえば、そうでもありません。時間があるときに、ついつい立ち寄ってしまいます。本屋さんのディスプレイを見ると、最新刊や、今お薦めの本がよくわかりますし、自分の興味のある分野の本を手にとって、パラパラとめくりながら、どの本を次に読もうかな、という探索が非常に楽しいからです。

話を戻して、「みどるな書店経営」の記事にある店主さんのキーワードは、まさに、大手巨大本屋さんに対して、どうやって差別化をし、付加価値を提供しようとしているか、ということがよくわかります。

・棚作り、お客さんとの会話。本を売るだけではなく、いろんな情報を発信できたら面白い。
・ご注文の本と一緒に何気なくお勧め本を見計らいで持って行って、「これ、いいやーん!」とか言われたい。
・お客さんも私たちも互いに面白がるというのが、今の本屋さんのあり方なんじゃないか。
・広いカフェがあって、購入前の本も持ち込んでもらってもいい。居心地のある空間を作りたい。ホッとできるところ。
・自分達が「いいな」「売りたい」と思ったものを置く。
・店が広いだけじゃ駄目だし、揃っているだけではもう駄目。読者に負けないように専門性を持つには、実際に読むのが一番。それを「あ、これでまた新しいことをかじれる」と喜ぶ。
・来店するお客様の気持ちに共振し応えることができる場を提供したい。
・「その人のためになんとかしよう」というところが伝わってゆけばお客さんになってくれます。
ネットにいなくて書店にいるのは、本じゃなくてスタッフですから。 ← けだし名言 

そういえば、子供の頃になりたかった職業って、本屋さんだったな~。
本に囲まれて一日中を過ごせるって、すごく幸せな気分になれそうです。


TVで「お願いランキング 文房具 デジモノ文具編」を見ていたら、マウス型スキャナの超優れもの的な動作。

「なるほど、こういうスキャンの仕方があるのか」とコロンブスの卵的なイノベーションに、感嘆しました。

ちょっと見てみようと思って、スマホで、ヨドバシ.comにアクセスしたら、トップ画面でいかにも買ってくれ、と言わんばかりに出てきたので、思わずポチってしまいました。

きっと今頃、たくさんの人がボチってしてしまい、年度末の売上追い込みに寄与してしまっているのではないでしょうか。企画連動型のプロモーション活動に、見事に乗せられてしまいました(笑)。

KING JIM マウス型スキャナ ブラック MSC10クロ/キングジム
¥11,550
Amazon.co.jp

日沖健(著)「戦略的事業撤退の実務」を読了。

戦略的事業撤退の実務/中央経済社
¥3,045
Amazon.co.jp

日本企業は、お客様への配慮や事業を始めた先人への配慮から、低採算事業になかなか見切りをつけられず、事業撤退が遅れがちになる、というのは事実だと思います。「一度始めた以上はなんとしてでもやりきる」という、かつての日本軍のような非論理的な精神論で、事業から撤退を拒否する経営者も、現実に存在しています(と聞いたことがあります。)

しかし、競争市場がグローバルに移り、日本の大企業といえど、全ての分野で競争を続けることができないことは、最近のS社やP社の状況を引合いに出すまでもなく明らかです。むしろ、グローバル市場で展開するメガベンダに比べれると、日本の大企業は世界では中小企業であり、ニッチ市場での高付加価値差別化戦略を取るのが基本的な戦略であるべき、というのが、私の最近の個人的な見解。

つまり、今まで以上に「どこで/何で勝つのか?」を考える必要に迫られているわけで、投資できる資源が無制限でなければ、必然的に、持っている多くの事業からの絞込みが必要になります。すなわち、グローバルで勝てない事業からは戦略的撤退が必要、ということです。

戦略的事業撤退をするには、まずどんな基準で事業を選択するのか、撤退するとなれば、何を考慮し、どのような手順でやるべきか、撤退の経験の少ない日本企業の共通の悩みではないかと思います。(市場が消失してしまって事業を辞めざるを得ないというケースはあったのでしょうが。) 

しかし、事業撤退の実務について書かれた本や論文は、実に少ないです(経験がないことの裏返しなのかもしれませんが..)。本書も、さんざんサーチして探し当てたものの、2010年の出版にもかかわらずamazonでも新本として入手できなくなっていましたので、某Oさんのご尽力によって入手し、読みました。こういった研究は、もっと進むべきですね。


前置きが長くなりました。

さて、本書についての感想ですが、
・実際に過去に事業撤退した企業の事例がコラムとして書かれているのは、非常に参考になりました。
・もちろん、事業撤退は「オープンになった途端に業績影響が出るため秘密裏に行なわれる」という性格のものであるため、その過程までが明らかになっているわけではないのですが、なぜ事業撤退をしたのか、という解釈は参考になります。本書の前半は面白く読みました。

・一方で、実務(本書の主に後半部分です)については、やや一般論で、そのまま適用できそう、という部分は少なかったです。
・著者の略歴を見ると、中小企業大学校の講師をされているということで、中小企業診断士の1次試験で出そうな知識が一杯出てきます。ちょっと教科書色が強く、表層的なように感じました。そのあたりは、個人的には学習済み領域、ということもあり、新たな発見は少なかったです。本当に実務でやる際には必要になることなのでしょうが..。
・例えば、事業ドメインとしては同じカテゴリに属する多くの製品事業の中から何をもって撤退(できる)事業を選択するのか? このあたりがポイントになるように思うのですが、本書にあるようなフレームワークでは解を導けないのではないだろうか、と感じました。


もっとも、撤退したい事業は、実はだいたいわかっている中で、顧客にとことん尽くす(悪い言い方をすれば、ステークホルダーとの交渉が苦手)な日本企業にとって、ハードルは、別の所にあるのかもしれませんが..。 

日本企業の過去の戦略的撤退の成功事例は、非常に長期に渡って業態をずらしてきた、という事例がほとんどであり、そもそも、外部環境的に強いられた撤退を除く戦略的撤退に、早急な解はない、というのが正解なのかもしれない、と思ったりもしました。 

よってもって、残念ながら、本書を読んでスッキリ、とはいきませんでした。
ただ、事業撤退をする際に考えるべき視点が整理されている、という意味で、本書は貴重な一冊であり、本書を世に問うてくれた著者に敬意を表します。こういう希少価値のある本は、重版してほしいですね。 

戦略的事業撤退は、最も高度な経営判断能力が必要とされる課題であることは、間違いありません。そして、冒頭で長々と書いたように、それが必要とされているのが、今という時代でもあります。戦略的事業撤退の研究の更なる進化を期待致します。