[川又]p.64~
正規代数多様体 X の上で考える.
Xの余次元1の部分多様体(既約)をXの素因子という.
素因子D_iたちの整数係数1次結合Dを(ヴェイユ)因子(divisor)という.
閉集合∪D_i を因子Dの台(support)という.
すべての係数が≧0のとき,effective divisor という.
X上の因子全体のなす加法群を Z^1(X) で表す.
X上の有理関数に対し,p.65のように,因子が定義できる.これを主因子という.
2つの因子D, D' に対し,D-D' が主因子になるとき,DとD'は線形同値であるといい,D~D' とかく.
因子Dが局所的に定義方程式をもつとき,カルティエ因子であるという.
カルティエ因子のなすZ^1(X)の部分群を Div(X) とかく.
●滑らかな代数多様体上では,すべての因子は,カルティエ因子になる.
カルティエ因子にassociateされた可逆層 O_X(D) を,p.65 のように定義.
effictive Cartier divisor D に対しては,O_X(-D) は連接イデアル層になり,
対応する閉部分スキームを D と同一視する.
定理1.9.5
正規代数多様体Xを与える.
カルティエ因子に可逆層を対応させる(上述)写像は,群としての同型写像
Div(X)/~ → Pic(X)
を誘導する.
定義
カルティエ因子が豊富(非常に豊富)であるとは,
それにassociateされた可逆層が豊富(非常に豊富)なること.
X が滑らかなとき,associateされた可逆層が標準層と同型であるようなカルティエ因子を標準因子と呼ぶ.
これは,主因子だけの不確定性があるが,すべて,K_X と表すのが習慣.
正規な射影的代数多様体 X と,その上のカルティエ因子 D に対し,
Dに線形同値なeffecive divisorの全体を |D| とおき,これを,Dの完備線形系という.
線形系とは・・・ 部分空間のとき (see p.68)
dim H^0(X, O_X(D)) = r+1 のとき,|D|はP^rと同一視できる.(定理1.9.10より)
定理1.9.12
線形系Λに対し,
射 Φ_Λ : X → P(V)
が存在して,
Λ = {(Φ_Λ)^*H ; Hは超平面}
となる.
(証明は,定理1.7.28 より)
とくに,Λ=|D| (完備線形系) の場合は,Φ_D とかく.
例
射影空間の部分多様体 X ⊂ P^N で,どんな超平面にも含まれないものを考える.
このとき,
{ H ∩ X ; H は P~Nの超平面 }
は,非常に豊富な線形系と呼ばれる.
射影的代数多様体 X 上の自由な線形系は,
X からある射影空間への射(正則射とは限らぬ・・・)による非常に豊富な線形系の引き戻しになる.