シェヘラザード | こうのの日々

こうのの日々

漫画家こうの史代です。
夫とキエリボウシインコのTさんと、福知山市で暮らしています。

こんにちは! こうの史代です。

 

さて、あなたは「千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)」はご存じでしょうか。

 

あるところに残虐な王様がおりました。

彼は毎晩、若い娘と一夜を共にしては、朝にはその娘を殺してしまうのでした。

そんなある夜、王様のもとに遣わされた娘は、王様に物語を聞かせました。

面白い物語でしたが一晩では語りきれず、続きを知りたかった王様は娘を殺しませんでした。

翌晩も語りきれず、娘は殺されませんでした。

翌晩も語り切れず、娘は殺されずに済みました。

こうして毎晩、王様は娘の話に聞き入り、千日経つ頃にはすっかり人間らしい心を持ち、この娘シェヘラザードを愛するようになったのでした。

 

というのが、「千夜一夜物語」の枠組みです。

有名な「シンドバットの冒険」「アリババと40人の盗賊」「アラジンと魔法のランプ」などは、すべてこのシェヘラザードが千夜の間に語った物語なのです。

 

先日まで取り組んでいた仕事の途中、たまにテレビのカメラマンさんが撮影に来ることがありました。

その間に一度、「ウクライナ情勢をどう思いますか」と軽いノリで聞かれて、こういう時は撮影の都合上一言で収めないといけないんだろうけど、そんな、一言でみんな笑顔、円満解決、みたいな魔法の言葉は知らないし、まあ誰々が悪いですよねー、みたいな悪口は無難かもしれんが無為だよな、一言でないなら考えがないでもないけど、たぶん嘲笑されながら長々説明させられたうえに曲解されて、後で仕事に支障が出るくらい後悔するんだろうな、と思って結局、このカメラマンさんが近づくだけで緊張してとげとげしく接してしまって、ちょっと悪いことをしました。

 

でも、ここはわたしのブログだからな。

 

今必要なのは、シェヘラザードではないかな、とわたしは思っています!

別に若く美しい娘でなくてもいいし、たった1人でなくてもいいのです。

どっかの地下室に閉じこもりっぱなしで、現実も虚構もそう変わらないはずの独裁者の、

心を解かす、長い長い物語があればいいのになあ。

もっと面白い物語をたくさん思いついて、速く巧く描けたらよかったのになあ…。と自分のこれまでの怠慢を悔やんでいます!

 

と堂々書いても、陰でどなたにどんなに嘲笑されようと関係ないわな!

 

と思っていたら!

ウラジーミルさんの所有していた船「シェヘラザード」って名前なんだね!

あながち全くとんちんかんでもなかったんじゃないかな!? と思うことにしよう。

ジャスミンさんは賢くて、大好きなディズニープリンセスです。

ではまたね!