こんにちは! こうの史代です。
おかげ様で12月17日です。
無事、「百一」(日本文芸社 1430円)の発売日を迎えました!
以前は、自分の本の発売日となると、本屋さんを回って、有無を確かめたものでした。
あなたもうすうすお気づきかとは思いますが、わたしの本を発売日に置いてくれる本屋さんは、とても稀です。
見つけると、棚から出して、平積みの本の上にそっと置いたりしたものでした(昔の話ですよ!念のため)。
2冊以上ある本屋さんを見つけたら、さも「おお、これこれ。探していました!」というふりをして、1冊買っていったりしたものでした(ごめんこれは今も時々やる!)。
それというのも、「新刊は発売日から1週間で返本されるかどうか決まる」と聞かされていたからです。
この1週間で売れないと「この作家の本は売れないからもう入荷するのはやめよう」と本屋さんに判断されるおそれがあるわけです。
すると「あなたの本は売れないから金輪際出さないことにしましたよ」と出版社から言われることになるわけです。
わたしは、最初の単行本「ぴっぴら帳①」が、うっかりこの流れに乗っかってしまいました。本当に、それまでは雑談でちらほら出ていた単行本の話が、きれいさっぱり無くなりました。恐ろしいことに、別の出版社でもそうなりました。その状態が数年続きました。
だから、今単行本を出せているのは、本当に奇跡のようなものなのです。
今は、発売日には本屋巡りはやらなくなりました。
もちろん!
今やどんな小さな本屋さんにも置いてあるからさ!
という空しいウソはやめようぜ!!
本屋さんに置いてないのは昔とほぼ変わりないのですが、今は新刊本がいっぱいあり過ぎて、その一つ一つにあの頃のわたしのように人生がかかっていたら…と思うと、ええ、いいんです、もうわたしはたくさん本出しましたからね、まあ置くトコないですよね…という気分で後ずさりしながら退店することになります。
落ち込むことも時には大切なのかもしれません。
このまま単行本は出ないと知りつつ描き続けるのか…とあの頃がっくり落ち込みぬいたおかげで肝が据わって、その後わたしはいろいろ挑戦できている気がします。
今や、こんな馬鹿馬鹿しい本をくそ真面目に作れる大人になれて、本当に感謝、感謝です。
あなたにも、本屋さんで「百一」に出会ったら、ぱらぱらっと見て、「こいつあほやろ」とくすっと笑っていただければ幸いです。
そして…できればレジに持って行っていただけると嬉しいです…どうぞよろしく!
仕事で珍しくアクリル絵の具と平筆を出していたので、これで空を描いてみました。
平筆はほとんど使わないので難しいな。
こちらはこれから雪の予報です。
あなたもどうぞ暖かくしてね。