ポール・アルテ

平岡敦 訳

行舟文化

2019年5月発行

 

前回はこちら

 

名探偵「オーウェン・バーンズ」のシリーズです。

アルテ5年ぶりの新作。そしてなんと!

本国フランス版に先駆けて・・

日本語訳のこちらが先に刊行されたということです。

(そういう契約だったのね)

 

これがめちゃくちゃ凝った作りになっていまして。

プロローグは1901年10月のロンドン。

50代くらいと思われる女性が・・殺される場面。

 

そしてその後は・・1911年の事件と1991年の現代?が描かれます。

もちろんバーンズが出てくるのは1911年の事件の方でして・・

こちら・・雪の密室? 足跡から見て殺人とは考えられず・・

 

死んでしまったのはヴィクトリア・サンダースという織物輸入会社の社長

一番の容疑者は双子の弟、ダレン・ベラミ

同じロッジに招かれていたのは・・副社長のアンドリュー・ヨハンソンと妻のアリス

アンドリューの秘書のシェリル・チャップマン

インド人の執事チャンドラもいます。ベンソン夫妻という雑用係と料理人は通い。

発見者はダレンとシェリル。

アンドリュー、アリス、ダレン、シェリーの間には複雑な関係が・・

 

現代の方は・・アンドレ・レヴェックという劇作家

ファッションデザイナーである妻のセリア

アンドレは・・謎の映画に取り憑かれてしまって・・

どうしても何の映画だったのか知りたい!

わかるまで執筆が進まないと言うのです。

そこで隣人に教えてもらった精神分析家(引退済み)のアンボロワーズ・モローのところに。

カール・ジェランスキーという改装した風車小屋に住む天文学者にも相談します

 

そして・・少しずつその映画が何か、が分かってくるのですが・・

 

さてさて過去の事件と現代。どう関わってくるのか?

なかなかに衝撃的なお話でした。

いや、単純なミステリじゃないでしょ・・

雪の密室は本格派ですけど。