88_化学の授業をはじめます。(一押し・お薦め) | mimi 読書三昧

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ボニー・ガルマス

訳 鈴木美朋

文藝春秋

2024年1月発行

 

はい、お初の著者さんです。

それも道理。これがデビュー作!

 

いや、もう・・

めちゃくちゃ良くてお薦めです

男性含めて1人でも多くの人に読んで欲しい。

高いけど買ってしまいたい・・

4月のベスト、ぶっちぎりで確実です!

 

あ、内容の説明が先ですね。

まずは・・カバー裏から引用

 

1960年代アメリカ。

才能ある化学者だが女性ゆえ保守的な科学界で

苦闘するエリザベスは、未婚のシングルマザーになったうえ失職してしまう。

ひょんなことから彼女が得た仕事は、料理番組の出演者だった!?

「セクシーに、男性の気を引く料理を教えろ」という命令に反して、

科学的に料理を説くエリザベス。しかし意外にもそれが視聴者の心をつかみ・・・。

全米250万部、世界600万部。2022年最高の小説がついに日本上陸!

 

ってことで・・

 

キャラクターがめちゃ立ってます

悪役はとことん悪役

エリザベスも・・お相手のキャルビン・エヴァンズも。

ちなみにキャルビンはヘイスティングズ研究所のスター化学者。

どちらも人付き合いは苦手中の苦手。

化学の才能はすごい、というタイプ。

 

女性がどれだけ苦労してきたか!

化学者(科学者)であることがどれだけ大変なことか。

男性にはない苦労が語られるのですが・・

スルスルと読めるし嫌味もなく

 

そもそも博士号が取れなかったのも・・

指導教授からのセクハラを拒否したから

研究所もクビになるのですが、それも似たような理由

結婚する気もなかったし、子供を産むつもりもなかったのに。

 

プロポーズを拒否したのは・・

姓が変わるから。自分の力で自分の名前で論文発表したい。

なのに・・上司にデータは盗まれる、同僚からは頼りにされるのに見返りはなし

はあ・・

 

そんな彼女を支えたのは犬のシックス・サーティ

お向かいの主婦ハリエット

 

そもそもが・・エリザベスとキャルビンの生い立ちが凄まじすぎで。

少しずつ語られるのですが・・どうしてそんな状況で化学の才能が芽生えたの?

というくらい酷い。。2人は親しくなってもお互いになかなか家族のことを話せないのです。

 

エリザベスの言葉

「料理は化学です。化学とは変化です。

それなら、あなたはなにを変えるのか、

自分に問いかけてください。さあ、はじめましょう。」

 

5人の息子を育てられたのなら、自分がやりたいこともできるはず!

とスタジオから質問した女性に伝えるのです。

心臓外科医になるのに手遅れなんてことはない、できる! と。

 

いやもう・・男性の言いなりになっていた女性が少しずつでも変わって立ち上がったら凄いですよ。

男性も長いものには巻かれろ、みたいな、どうやって上手く世渡りするか、みたいなの

拒否できればね。

 

現代は多少の改善がされてるとはいうものの・・女性の待遇はまだまだです。

私も苦労してきましたよ。。曲がりなりにも研究所とされる部署で30年以上勤務したけど。

そもそも大学卒業の時、男子学生には就職案内がたくさん来てるのに・・

私に届いたのは「ツヴァイ」からで・・「そろそろ真剣に結婚を考える時期だと思いますが・・」みたいな。

幸い、大学ではそれほどセクハラ・パワハラはなかったけれど(でも相当酷いことを言ってきた教授はいる)

就職しても最初の頃はお茶出しは女性、が普通でした。

 

少しでも良い方への変化がありますように。

女性自身も変わっていけますように。