29_彼女が言わなかったすべてのこと | mimi 読書三昧

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桜庭一樹

河出書房新社

2023年5月発行

 

桜庭さん、前回はこちら

 

今回のお話もとても説明が難しくて・・

なので図書館のサイトでの紹介文を引用しますね。

 

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先日、大学の同級生だった中川君と偶然再会した。

彼と私は、どうやら別の東京を生きている。

向こうの世界では世界規模の感染症が広がり…。

切なくもすがすがしい、パラレルフィクション。

『文藝』連載を改題し書籍化。

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はい、パラレルワールドのお話。

主人公の女性は32歳。小林波間(こばやしなみま)

お話のスタートは2019年9月の終わり頃。

平日の夕方。JRお茶ノ水駅から出て東に向かう途中。

路上で突然起こった傷害事件。若い女性が刺されて・・

そんな現場で再会したのが大学の同級生の中川くん。

物語は波間さんの一人語りで進みます。

 

読んでいるとだんだんわかるのですが・・彼女は病気の治療中。

副作用もあるし、仕事も一度退職して、細々と下請けをしているくらい。

そんな彼女の治療と病院で知りあって友達になった女性や

お兄さん、古くからの友だちなどとのやり取り。親には病気を隠したまま。

 

そして再会した中川くん。彼とはLINEを交換して連絡を取るようになったのだけれど。

日曜に会うことになって時間と場所を決めて・・二人ともその場所に行ったのに・・

なぜか会えない! 周りを見渡してお互いに確認していくと・・

スカイツリーの色は違うし・・うんこビルはあるし(波間の世界ではイカビル)

あちこち違うことが判明して・・実は2人、違う世界にいる!?となり。

再会した日は地震もあったし、たまたま2つの世界が繋がった?

 

波間は自分の病気を隠したまま、別の世界の中川くんとやりとりを始めます。

違う世界にいるけれど、同じ部分もあって・・一緒にあちこち行ってるつもり?

女王蟻が死んで破滅に向かう葉切り蟻の世界の展示を見たり。

 

治療を続けつつ、いろんなことを考えつつ・・

別世界の中川くんと繋がってることで安心感もあったり。

でもだんだんと時間がずれて行き、繋がりにくくなり・・

あちらの世界ではパンデミックとなり・・

 

いやもう、本当に色々と考えさせられるお話でした。

桜庭さん、やっぱり好きです。