うらんぼんの夜 | mimi 読書三昧

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川瀬七緒

朝日新聞出版

2021年6月発行

 

川瀬七緒さん、前回はこちら

 

さて今回借りてきたのは・・割と最近の作品ですね。

小説の中でも「コロナ」のことや、マスクのこと。

東京もん、など出てきていました。

 

題名の「うらんぼん」とは「盂蘭盆」のこと、が基本のようですが。

主人公は高校生の女子。

舞台は福島県の田舎のようです。

震災や震災後の噂で苦労したことなども書かれています。

 

菜穂は16歳。田舎の農家の暮らしにうんざりしていて。

高校を卒業したら絶対に家を出る、という願望が膨らむ日々を過ごしています。

町の高校に一番の成績で入学。農作業の手伝いも勉強も全て真面目にこなす。

同級生とは溝を感じつつも仲良しのふりをしてますが・・

農作業をしてるとろなど見られたく無い・・のに・・

突然、2人が遊びに来て戸惑ったり。

 

そんなところに東京からの転校生がやってきます。

それも同じ部落内(内部落という)の空き家に。

母親(精神的な病)と子供3人。一番下の子が同級生の亜矢子。

 

彼女は町の子よりもずっと洗練されていて・・

制服も着崩さなくても上品に見えるし。

化粧など必要なく。

 

どうにかして仲良しになろうとしますが・・

亜矢子には人を寄せ付けない部分もあります。

 

小説の中には・・

別の書体にて、昔(戦争の頃)の娘の状況も挿入されています。

部落のしきたり、地蔵信仰、その他、諸々。

 

田舎の農家、というだけでもそれなりに凄いのですが。

部落のしきたり、年寄りたちの監視の目、情報網

よその部落からの嫁はいつになっても部外者

など・・なかなかに凄まじい世界として描かれています。

 

部外者が入ってきたことによって、異常な事態が次々と発生

全ての責任を転入者に押し付けようとする人たち などなど。

 

最後の方になると亜矢子たちを受け入れることを

決意したようなのですが・・

 

部落を出ると決意していた菜穂。

最後は出ることを諦め、部落を守っていくことを決意します。

 

うまく説明できませんが・・なかなかに怖いお話でした。