前回のデリバンに続いてカーサーモデルのT2、今回は私の本命だったマイクロバスのモデルです。

デリバンと同様に、プロポーションの良さが際立つモデルで、手にした者を魅了する素晴らしい1台です。モデルの構造はデリバンと同じで、簡単なパーツ構成ながら、完璧にVW直のプロモーショナルモデルとして、その役目を果たしています。

採用されたグリーンのボディカラーも良く、白いバンパーとのマッチングも最高で、古き良き時代のモデルとして、当時の空気感をそのまま伝えています。インテリアは簡潔に最小限の表現ですが、デリバンより多いガラスエリアにより、内装がよく見える為、より的確に再現されています。このモデルはその性格上、外観重視なので、ダッシュボードや内張りは表現されていませんが、その様な事はどうでもよくなる程に、プロポーションの素晴らしさが全てと言っても良いぐらいです。

ボックスのデザインはデリバンと異なり、売られていた時期や車種で違っていたのか、私にはわからないのですが、何れにしても魅力的なデザインで、コレクションに箔が付きます。

この個体は前回のデリバンと前後して手にしましたが、購入時はホイールキャップが1枚足りない状態でした。しかしそれは大した問題では無く、ボディが破損したドイツ警察仕様のジャンクを、先行して手にしていたので、そこからホイールキャップを移植。一瞬にして完品となりました。

冒頭にも述べた通り、私の本命であったモデルなので、コレクションに加わった時点で殿堂入りしている、超お気に入りの大切な1台です。

1968年発売 発売当時価格 不明






京商の200系ハイエースは、2013年に大幅なリニューアル実施し、2010年にマイナーチェンジされた所謂3型になりました。ボディ本体は実車と同様に変りありませんが、前後のイメージが一新され、そしてここに来てやっと、グレードがスーパーGLと、完璧に特定されて製品化されました。

バンパーはエアロパーツ付きのカラードに、ホイールはオプションのアルミホイール、リアのエンブレムもきちんと表現、これで外観上は完璧なスーパーGLとして体裁を整えました。しかし内装パーツがトーンダウン、以前の製品の様な細かな塗り分けがオミットされてしまいました。荷室部分はプライバシーガラスの表現で、殆ど見られないの別によいですが、フロント部分は大きなガラスエリアでよく見える為、ここはもう一歩踏み入れて、再現して欲しかったところです。

京商の200系ハイエースのモデルは、何台かコレクションに揃えてみたものの、今となっては思い入れも薄らいて来たのですが、このモデルに限っては、つい最近まで私の仕事の相棒だった実車(GLパッケージ仕様)に近く、私のヒストリー上で、後々懐かしい1台になって行くと思います。

2013年5月発売 発売当時価格 3.500円(税別価格)






今回の元祖ダイヤペットの観光バスは、国際観光バスのモデルです。このタイプの観光バスとしては最初に発売されたモデルで、前回のニューはとバスよりも先の1974年8月に発売されています。

国際観光バスと聞いて『なんたって18歳!』と言うドラマを思い出す方々は、既に還暦近く或いは還暦を超えた方と想像に難しくありませんが、私も幼稚園児ながらもドラマを毎週見ていました。それは主役の岡崎友紀さんやドラマのストーリーよりも、国際観光バスが活躍する姿を見るのが目的でした。関西圏以外の観光バスの姿は新鮮で、このベージュが基調のバスの印象は、極めて鮮烈に幼児体験として残る事になります。

そんな思い出のある、国際観光バスのミニカーを私が手にするのは、1976年になってからの事であり、モデルの新発売から既に2年が経過していました。大阪では馴染のない観光バスだった為か、新発売当時に近くの玩具店で見た覚えは無く、ニューはとバスと国鉄ワンマンバスだけが、店頭に並んでいました。よって小学2年生の私に、国際観光バスのミニカーが存在する事を知る術はありませんでしたが、1976年の夏、心斎橋の大丸百貨店の玩具売場のミニカーのショーケースに、国際観光バスが並んでいるのを見つけてしまいました。この時は一周り大きい日本高速バスを買って貰う事にしていましたが、急遽ターゲットをこの国際観光バスに変更したのは言うまでもありません。あの『なんたって18歳!』のバスのミニカーが存在した事に感動さえ覚えたぐらいです。そしてあの時に大丸のミニカー売場で手にした姿のまま、今日まで温存して来ました。

しかし、このモデルの購入時期には大きな謎があります。私は間違いなく1976年の夏に手にしているのですが、後に調べてみると、この頃には既に絶版になっていた模様です。1976年からの車種別品番を与えられておらず、箱には消滅していた筈の、ダイヤペットエースシリーズの表示がある事からも、その事がわかります。また1976年のカタログにも載っておらず、そんなカタログ落ちしていたモデルが、なぜ大手の百貨店の玩具売場に並んでいたのか、今となっては大きな謎となっています。

1974年8月発売 発売当時価格 1.700円








グリーンマックス製キット『日本の情景シリーズ』の中で、私が一番心待ちにしていたのが、バス営業所のキットでした。地方の小規模な出張所的な営業所をモチーフにした、レイアウト上に丁度良い、手頃な大きさの営業所兼車庫となっています。

プロトタイプは、恐らく昭和20年代から存在して来た営業所で、近年のバスなら1両が入るのがやっとの車庫本体は、鉄製の大屋根の正面にメインの看板、その下には木造モルタル製の事務所があり、給油設備や点検スロープ等の車庫内のアクセサリー、それに加えてバス停とその付属パーツと内容は多彩に、様々な表情の営業所を作る事が可能です。特にバス停は6種類をセット、ベンチは新旧2種類あり、キットの本質を物語っています。

そして忘れてはならないバス車両が1両、いすゞキュービックLVの初期型。前中扉仕様と前後扉を選択可能で、車庫の看板と共通の伊那バスと、全国何処の風景にも対応が可能な様に、国鉄バスのデカールもセットされています。また他のバス会社やフリーの看板もある為、オリジナルのデザインで楽しめる事も、暗黙の了解の如く、グリーンマックスからのメッセージとして伝えている様にも思えます。

箱はいつもの楽しいイラストが表面に、そして裏面には表面のイラストを、そのまま再現出来るベースが印刷されており『ここから先はあなたの柔軟な発想でお願いします!』と、グリーンマックスの初代社長の声が聞こえて来る様です。

私は当初、レイアウトに組み込むよりも、このキットを単体で組み立て、ディスプレイして楽しもうと購入しました。しかし必要に応じて、レイアウトに組み込む様に考慮し、組み立てるのも面白いと思い色々と考えましたが、未だに実現出来ていません。

とにかく細かなパーツが満載で、組み立て説明書とパーツを見ているだけで、様々な創造性が掻き立てられる、工作派のNゲージャーにとっては有り難い嬉しいキットと言えるでしょう。

1988年発売 発売当時価格 2.800円(税別価格 現在も箱と価格を改定して発売中)








2011年に発売された、トミックス製の国鉄ED61形の現代版モデルです。トミックスのED61形は、その黎明期に香港製で製品化されて以来、3度製品化されて来ましたが、今のところ最新のバージョンがこのモデルと思います。

香港製のED61形は、仕上がりもまだまだ原始的なもので、ユーザーに一定数行き渡った頃には生産終了となり、またブルートレインブームの中にあってはEF65形の様なスター性も無く、子ども達にも知名度が低く、マイナーな存在の電気機関車であった事もあり、比較的早い時期に行われた香港製動力車両の撤退時にカタログ落ちし、一時は幻の存在とまで言われる様になりました。

ED61形のNゲージはその後、他銘柄から1990年代半ばに少量生産品を発売し、形式としては幻の存在では無くなりましたが、トミックス自身も1999年に完全新製品として、二代目のモデルが登場、トミックスのED61形は、名実ともに幻では無くなりました。

そして今回のモデルである三代目が2011年に登場する訳ですが、それはもう現代技術の結晶の様な、素晴らしいモデルとなってNゲージャーの前に現れました。写真を撮って見るとこれがNゲージ車両とは信じられない程のディテールで、ひと昔前のHOゲージよりも精密に出来ています。走行音も驚く程に静かで、ヘッドライトはLEDによる常点灯仕様、スイッチにより消灯状態も選択が可能です。

しかし、選択式ナンバーは良しとしても、細かな手摺や屋上期機器をセルフで取り付けなければならず、逆に私の様に、阪和線仕様として活躍させたい向きには不要な、スノープローが初めから取り付けてあり、それを取り外すには困難を極めるので、難儀な話です。また全てのパーツを装着すると、破損を心配してケースから出すだけで気を使い、レールの上に載せるだけで、かなりの時間が掛かってしまいます。

これでは手軽に遊ぶ事が大前提の、Nゲージの一大特徴を大きくスポイルしています。Nゲージの車両に、ここまでのクオリティが本当に必要なのか、そう言った側面からは、コストを含めて一考の余地があると思います。

このトミックス製の新しいED61形を見ていると、確かに素晴らしく、立派に成長したNゲージ車両の姿に感動するのですが、少年の頃に香港製のED61形を手にした時の方が心ときめき、レールに載せて走らせた時の感動は大きかったと感じています。

2011年6月発売 発売価格6.200円 (税別価格)