あらら。
5月は2冊とは
ずいぶん控えめな結果になりましたねぇ。
さっそく参ります！
5月の読書記録。
お付き合いくださいませ。
『闇の左手』
アーシュラ・K・ル・グィン 著
小尾 芙佐 訳
なんか読みづらいなー
入って行きにくいなー
と苦戦しながらも
中盤からおもしろくなってきて
あとは一気に読みました。
SFです。
SFなんですが、
なんとシリーズものらしく、
これはシリーズの後半らしい
（どーゆーこっちゃ！）。
どおりで最初、
「なんか設定がよく分からないな」
と思ったわけだ。
1969年の作品。
だいぶ古いね。
ぜんぜん知らなかったんだけど
『ゲド戦記』の著者らしい。
最後の解説を読んで知りました。
『ゲド戦記』はいつか読んでみたいな、
と思っていたけど
この人が書いた作品だったんだね。
知らなかった。
で、この作品に戻ると･･･
ちょっと期待と違っていました（！）。
両性具有の人間たちが作る社会は
どんな社会だろうか？
そんな切り口から書かれた作品
と聞いて手に取ったのですが、
その点は私が期待するほど
フォーカスしていませんでした。
性交渉の際、
どちらが妊娠するか分からない。
毎回、どっちになるか分からない。
一人の人間が母親になったあとに
父親になることもある。
そういう人たちがつくる社会は
どんなふうだろう。
それがテーマなのかと思って
読み始めた作品でした。
でも、彼らが作る社会の
細かいところはあんまり描写されてなくて
（というか、そこはそもそものメインテーマじゃなく
ただの設定というか、背景だったから当然）
彼らと異星人の間の友情の物語でした。
で、その友情の物語自体は
すごくおもしろかったです。
この物語のおもしろさを
ちゃんと理解するには
シリーズの最初から読むほうが
いいんだろうなぁ･･･。
うーむ。
妊娠がジェンダー問題の
大きな役割を果たしていると考えるなら
誰もが妊娠する星では
どのような社会になるだろうか。
そういう思考実験的な作品だと
期待していたのだけれど。
そこは脇に追いやられてしまった印象だなぁ。
残念。
『楽しみは 橘曙覧・独楽吟の世界』
新井 満 自由訳・編・著
うーむ。
足るを知る、とはいうけれど
なかなかねぇ･･･。
この「楽しみは･･･」で始まる
五七五七七の世界。
橘 曙覧（たちばな・あけみ）の歌集『独楽吟』を
新井 満の自由訳とともに読める一冊。
52首なのでさっと読めてしまう。
日常の小さな風景に
喜びを見出した歌が並んでいます。
ばたばたとしていると
見逃してしまうようなふとした出来事。
こういうのを見逃さずに立ち止まれるって
こころの中に静けさがないと
できないだろうなぁ、などと思います。
好きな歌はいくつもあったけど
あえて一つ挙げるならこれ。
たのしみは
朝おきいでて 昨日まで
無かりし花の 咲ける見るとき
あぁ、あるよねぇ。
「お？」と嬉しくなる瞬間。
シンプルで
出来事そのまま。
でも、嬉しい感じが湧きあがる。
こういうのいいよなぁ。
というわけで、
5月はこの2冊でした。
4月に続いて ”クロムウェル月間” に
なるはずだったんだけど
読みさし状態で
『闇の左手』に脱線してしまいました(笑)。
何もなければ
6月はクロムウェル月間に戻るはずですが･･･
出合いはいつも急ですから。
うふふ。
来月のご報告をお楽しみに
カミヤカオリ