2022年6月【読書記録】2冊 | ひとしずくの純金

ひとしずくの純金

たったひとつのわたしの生き方を見つける旅

 

7月20日
7月21日

関東の多くの学校では
夏休みに入る日。

子どものころから
染みついた季節感のせいか

7月20日がくるとほとんど自動的に
どこかわくわくしてしまいます。



昨日も
7月20日に何かひっかかりを感じ

「今日って何かの日だっけ?」
「誰かの誕生日とか?」

としばらくすっきりしなかったのですが
最後の最後で

「そうか、学校が終わる日だ」
と気づきました。

楽しい夏休みを過ごしてくれると
いいなぁ・・・と思います。



というわけで
6月の読書記録参りますか!
 

 

 

 

『わたしたちが孤児だったころ』
カズオ・イシグロ 著
入江 真佐子 訳

おもしろかったです。

前作『充たされざる者』の
アレンジ・バージョン

って感じです。

あちらが
現実2割、夢想8割なら

こちらは
現実6割、夢想4割

って感じでしょうか。

 

 

 

dim

 

この人の小説を読んでいると

いつも浮かびます。

 

谷崎の『仄暗さ』『薄暗さ』よりも

 

曖昧さやぼんやりさ、

輪郭がぼやける感じ・・・

 

地と図が溶けあうようなあいまいさ・・・

 

そんなものを感じます。

 



感想を書くにあたって
ストーリーをざっくり思い出したくて

たった今
ネットのレビューを見てきました。

そうしたら
『推理小説として読むには不足』

といった意見が多くて
ひっくり返りそうなほど
びっくりしてしまった。



だって、これ、
そもそも推理小説じゃないよね?

えっ???
えぇっ???

?????????????



確かに主人公は私立探偵だけど
そもそも謎解きのための
ストーリー展開してないもん。

あいまいな書き方だから
賛否が分かれるのは分かる。

特に、前作を知らずに
推理小説だと思って読んだのなら
意味不明でイラつくだろうとも思う。



だけど。

この物語のテーマは

個人が受け入れるには
あまりに大きすぎる耐え難い出来事に
見舞われながら

それでもなお生きていこうとするとき

どうやって人生の中に
その出来事の置き所を見つけるのか

だよね???????????

犯人を見つけることは
主題じゃないと思うんだけど・・・。



人は

人生に大きな影を落とした犯罪に
巻き込まれ

その影響ゆえに
逃れられない苦しみに見舞われても

日々を生きることから
逃れられない。


はいそうですか、とも
受け入れられないが

じゃぁ、人生を終わらせる
とも簡単にはいかない生がある。

なぜ自分がこんな目に合うのだ?

いや、これは本当のことではない、
何かの間違いだ

と自問と否定を繰り返しながら

受け入れたいとすら思わないのに
なんらかの着地を
見出そうとせずにいられない

そういう前向きな
こころのありようがある一方で、

そうしようとすればするほど

その作業はつらさを増し

こころが壊れないための守りが働く。


そのプロセスでは痛みゆえに

現実をそのまま見つめることができず

時に歪み、都合がよく脚色され
何もかもがはっきりと見え過ぎないよう

モヤに包まれた
程よい ”夢想” が必要になってくる。

苦しみながら長い時間をかけ、
”事件” を自らの中に落とし込む者が
どのような世界を生きるのか。

 

 

・・・というようなことを

書いた物語だと思うんだけどな。

もし、推理小説として読むのなら
あの最後のシーンは

まったくもって意味不明だろうし
蛇足でしかなく納得できないだろう。



だけど、

受け入れがたいことを
自らに起こった出来事として

長い時間をかけて
ようやく置き所を見つけた者が
たどりついた場所

と捉えれば
「なるほど、そうなったか・・・」
と胸が締め付けられるシーンになる。

そうでなければ
小さな子どもを引き取る展開は


何のために挿し込まれたエピソードか
戸惑うしかないよね。



こんなに読み方がが分かれる小説も
そんなにないのでは???

推理小説とは

1ミリも、1ミリも思わなかったから

本当に、心底驚いてしまった。


いやぁ、びっくりしたなぁ。
 

 

 

 

『エンデ全集1

 ジム・ボタンの機関車大旅行』

ミヒャエル・エンデ 著

上田 真而子 訳

 

おもしろかったです。
ジム・ボタンという男の子の冒険譚。

『モモ』と
『はてしない物語』

これを読む前に
他の作品も読んでおきたいなぁ、

と思って
調べて探して読んでみました。



たしか、『はてしない物語』は
学生の頃に読んだ気がするんだけど・・・

赤い布カバーで装丁された
美しい一冊だったんだけど

手元にないんだよなぁ。。。

あげちゃったのか
売っちゃったのか

はたまた
自分のものの記憶になっていたけど
実は借りていて、返しただけなのか・・・

うーむ。



で、ジム・ホタン。

冒険はもちろん
おもしろかったけれど

私が好きなのは
フクラム国の人たち。

王様も
家来も
ジムを育てたおばさんも
機関士も

みんなばらばらの
キャラクターでありながら

それぞれにいい味を出していて
好きになってしまう。

 



一見愛想がないように見える人も
ちゃんとその人なりに

役割りをこなしていたり
相手を思いやっていたりする。

表現がその人らしい、というだけで
みんな悪意がない。

子どものころに
そういうキャラクターに出会え

「いろんな反応があるんだな」
と触れられるのは幸せだよね。



ところで王様の名前。

ものすごい名前なんだけど
(アルフォンス12時15分前、という名前)

芸人さんにもいましたねぇ
こういう名前の人。

なるほど、これが由来なのか??
と勝手に思っていますが・・・

だとしたら
あの芸風から思いもよらないところに
たどりついたな、と。

ある種の奥行きを感じております(笑)。

ジム・ボタンの物語は
続きがあるようなので
そちらも読んでみようかな、と思います。



というわけで
6月もいい出合いでした。

みなさんも読んでいるかな?
どんな出合いがあっただろう?

いい時間になりますように。

 

 

 

カミヤカオリ

 

 

 

 

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